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様似「かんらん岩」広場のご紹介 Outdoor Museum for Peridotites

国道沿いの様似町役場の前庭に「かんらん岩」広場ができました!かんらん岩の野外博物館です.かんらん岩の大きな研磨標本が展示されています.

アポイの鼓動
〜かんらん岩,見る,触れる,感じる広場〜

かぎりなく堂々として,美しいアポイの山並み.アポイはかんらん岩の山です.もともとは地下深く,およそ数10 km深部の上部マントルにありました.

かんらん岩は玄武岩質マグマの起源物質です.日高山脈ができたときに,高温だった上部マントルから押し上げられて,地表に露出しました.

アポイのかんらん岩はとても新鮮で,かんらん石も,輝石も,スピネルも,高温高圧の上部マントルにあったままの形で含まれています.学術的にきわめて貴重で,「Horoman peridotite(幌満かんらん岩)」の名前で世界的に有名です.

「ヒダカソウ」などの高山植物をはぐくむ「かんらん岩」の山.アポイの自然. 広場のかんらん岩を,見て,触れて,感じてみてください.地球は生きているよ.


杉本榮一の志を記念して贈る
杉本治子・杉本 定(平成11年8月)

監修:北海道大学理学研究科 新井田清信
制作・施工:株式会社 南 組



もくじ「かんらん岩」野外博物館




「かんらん岩広場」について

  お問い合わせなど:
  様似町教育委員会まで



  または,電子メールで
  下記までどうぞ



電子メール:kiyo@ep.sci.hokudai.ac.jp

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(1)様似:アポイ岳のかんらん岩(解説)

アポイの鼓動〜かんらん岩,見る,触れる,感じる広場〜
(⇔ここをクリックすると解説文にリンク)




<展示標本> みごとに研磨された8角柱の研磨標本
岩石名:ハルツバージャイト
英語名:harzburgite
主な鉱物:かんらん石(オリーブ色)・斜方輝石(濃褐色)・単斜輝石(緑色)・スピネル(黒)

ハルツバージャイト中のダナイト脈には多数の巨晶かんらん石が含まれている


アポイの鼓動〜かんらん岩,見る,触れる,感じる広場〜

「地球は生きている」と,感じるだろうか?

北米プレートとユーラシアプレート.2つの巨大プレートの境界で,日高山脈ができた.約1,300万年前のことだ.そのとき,東側の北米プレートが西側に乗り上げるように,山脈は上昇した.

地球が大規模に変動するとき,大地の岩石は,変動がもっとも激しいところでつくられ,そして移動する.日高山脈の岩石は,深成岩も,変成岩も,すべてが大規模な地球変動とともにできた.この変動が,「日高造山運動」と呼ばれた地球変動で,山脈の岩石のすべてをつくった.

アポイの山並みをつくるかんらん岩.もともとは地下深く,高温の上部マントルにあった.かんらん岩は,玄武岩質マグマの起源物質(マグマ源の岩石)である.これが,およそ数10 kmの地下深部,マグマを発生するほどに高温の上部マントルから,はるばる地表まで押し上げられた.日高山脈ができたときのことだ.

およそ数1,000万年前から,山脈ができるまでの時代.そのころ日高一帯は,地下増温率(温度勾配)が34℃/km以上で,地熱地帯のように高温だったといわれている.日高山脈は,地殻も,上部マントルも,とても活発な島弧だったのである.

上部マントルでは,かんらん岩が部分融解して,玄武岩質マグマが発生した.そのマグマは上昇移動して,地殻の中に大きなマグマ溜まりをつくった.ここで,はんれい岩ができた.地殻の深部でも,変成岩が大規模に融解して,トーナル岩の珪長質マグマを生じた.花こう岩のマグマも活動した.日高山脈の地下深部は,高温の「マグマのふるさと」だったのである.

かぎりなく堂々として,美しい.アポイの山並み.大地の変動とともに,かんらん岩の山ができた.

オリーブ色のかんらん石も,美しい輝石も,スピネルも,どの鉱物も,もともとは地下深く,そこはとても高温で,上部マントル呼ばれる「玄武岩質マグマのふるさと」にあったのだ.

様似.アポイの自然.アポイの鼓動が聞えるだろうか?広場のかんらん岩を,見て,触れて,感じてみよう.地球は生きているよ.

1999.8.12 新井田 清信(北大・理・地球惑星物質科学)



(2)広場全体のイメージ

様似町役場前の「かんらん岩広場」



  かんらん岩の
 野外博物館






(3)展示されている岩石標本

「幌満かんらん岩」の代表的な岩石
A-1〜4: ダナイト(一部ハルツバージャイト質)
B-1〜2: ハルツバージャイト(ダナイト脈を含む)
C, D, E: ハルツバージャイト
F: 風化面のままのハルツバージャイト
G, J, L, R: ハルツバージャイト(ダナイト脈多数:巨晶かんらん石を含む)
H, I, K:: レルゾライト(輝石-スピネルのシンプレクタイトを含む)
P: かんらん岩中のはんれい岩層(タイプGB I)
Q-1〜2: 斜長石レルゾライト
S: 斜長石レルゾライト(はんれい岩脈をはさむ)

「幌満かんらん岩」とともに日高山脈をつくる代表的岩石
M, N:トーナル岩(ミグマタイト)
O, T:かんらん石はんれい岩
U:縞状黒雲母片麻岩
V:グラニュライト(上)・縞状黒雲母片麻岩(下)



(4)かんらん岩にもいろいろあるよ

「幌満かんらん岩」の主な岩石タイプ(⇔ここをクリック)

ダナイト
ハルツバージャイト
レルゾライト
斜長石レルゾライト


(5)かんらん岩をよく見ると...

上部マントルの鉱物が,上部マントルにあったままの形で含まれている!



「幌満かんらん岩」のアップの写真
岩石名:ハルツバージャイト
英語名:harzburgite
主要構成鉱物:
かんらん石・斜方輝石・単斜輝石・スピネル



オリーブ色(黄緑色〜灰色)で,もっとも多く含まれる鉱物が...
かんらん石『 olivine:(Mg,Fe)2 SiO4 』

アメ色(濃い褐色)の鉱物が...
斜方輝石『 orthopyroxene:(Mg,Fe) SiO3 』

エメラルドグリーン(濃緑色)の鉱物が...
単斜輝石『 clinopyroxene:(Ca,Mg,Fe) SiO3 』

少量含まれているまっ黒い鉱物が...
スピネル『 尖晶石;spinel:(Mg,Fe)O (Cr,Al)2O3 』

きれいで新鮮な「かんらん岩」には,高温高圧の上部マントルにあったときの状態(岩石鉱物の組織形態や化学組成など)がそのままの形で残されています.このために,きれいで新鮮なかんらん岩の産地として有名なアポイ岳の「幌満かんらん岩」は,地下深い上部マントルのことを研究するために,とても貴重な岩石です.その組織や化学組成を調べることによって,上部マントルにあった時のいろいろなことを解析できます.



幌満かんらん岩
アポイ岳北尾根


電子メール:kiyo@ep.sci.hokudai.ac.jp

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