このプログラムは 3 時間の講演のうち, 前半 1 時間半はインターネットの歴
史からはじまり, Internet Protocol と IPv4 についての概要が話されました.
後半は IPv6 の仕組み, IPv4 から IPv6 への移行ついてなど
が話されました. TCP/IP・DNS 等の復習にもなりました.
IPv4 の抱える問題
- アドレス不足
- 経路制御情報の増大
- アプリケーション情報の細分化, ヘッダ処理によるルータ負荷
- サービス要求に対する機能拡張
実際には情報の細分化やルータの負荷は依然問題となっているが
経路情報の集約化やIP アドレスの節約はやや解消された.
しかし根本的な解決ではないので IP の見直しが必要である.
IPv6 の特徴
アドレス空間
アドレスの長さは 128 ビットです. v4 では 32 ビットでアドレス数は約 40
億個でした. v6 では約 3.4 × 10^38 個. どれぐらい多いかというと
地球上の陸地 1cm^2 あたり 2.2 × 10^20 個使える. とにかく多い!!
IP アドレスは仮に IPv4 と同じように書くと
123.123.123.123.123.123.123.123.123.123.123.123.123.123.123.123
となり長い. IPv6 では 16 ビットごとに区切って 16 進数で書く.
FFDC:BA98:7654:3210:FEDC:BA98:7654:3210
となる. アドレスは連続する 0 のブロックは省略可能である. 例えば,
1080:0:0:0:8:800:200C:417A
→ 1080::8:800:200C:417A
0:0:0:FF01:9123:0:0:0
→ ::FF01:9123:0:0:0
× ::FF01:9123:: 書けない
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である. アドレスの種類はプリフィックスと呼ばれる部分で指定しており
128 ビットのうち左から n ビットをプリフィックスとして 128 -n ビットを
アドレスとする. 具体的には
001 集約可能なグローバルユニキャストアドレス
1111:1110:10 リンクローカルユニキャストアドレス
1111:1110:11 サイトローカルユニキャストアドレス
1111:1111 マルチキャストアドレス
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と分けている. グローバルユニキャストアドレスの階層構造は 128 ビットをそ
れぞれ上位層から説明していくと(括弧はビット数)
FP(3) アドレス形式プリフィックス「001」
TLA ID(13) 最上位階層集約子
予約(8)
NLA ID(24) 次階層集約子
SLA ID(16) サイト階層集約子
インターフェース ID(64) インターフェース識別子
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でそれぞれの具体的な割り振りは
である.
IP ヘッダ
IP ヘッダはより簡素にした. またヘッダは基本情報のみでサイズ固定し, 拡
張機能を用いる場合は拡張ヘッダを連結する仕組みになった. これにより拡張
機能を特に使わない場合は基本ヘッダのみなので処理が単純となった.
<IPv4 のヘッダ>
ver, IHL, TOS, データグラム長, OID,フラグ, オフセット, TTL, プロトコル,
ヘッダチェックサム, 発信元 IP アドレス, 送信元 IP アドレス, オプション
(可変長)
<IPv6 のヘッダ>
ver, クラス, フローラベル, ペイロード長, 次ヘッダ, 中継制限, 発信元 IP
アドレス, 送信元 IP アドレス
IPv4 から IPv6 への移行
あるタイミングで IPv4 から IPv6 へ一斉に置き換わるわけではなく, ネット
ワークの中で IPv4 と IPv6 へ少しずつ置き換えていくような設計になってい
る. → トンネリング
トンネリング
異なるプロトコルパケットを通信経路のプロトコルでカプセル化して相手ネッ
トワークまで転送する技術. これを使って IPv4 の世界に IPv6 の通信を可能
にしている.