DM2 ゼミ 要旨 2004


04/21 (水) 13:30- 森川 靖大

タイトル:

gt4f90io: gtool4 規約に基づく Fortran90 netCDF I/O ライブラリ

要旨:

地球流体現象を表現する数値モデルのための, Fortran90 による I/O ライブラリ 「gt4f90io」 に関してお話させていただきます.

近年, 技術の進歩に伴い, 観測・解析・数値モデルによる様々な 形式のデータが多量に氾濫し, 結果としてデータを参照する手間 も劇的に増加してしまいました. 地球や火星, 金星の大気のメカ ニズムを数値モデルによるシミュレーションを用いて解き明かそ うとする場合, 0 〜 3 次元の様々なモデルや観測データ間で比較 を行います. そのような場合にこのデータ参照コストの増加は研 究にとって大きな障害となります. 「davis (Development of tools for Analysis and VISualization) プロジェクト」では, 『隣の専門家が分かる情報を提供できる』データ構造, 解析・可 視化ツールの開発を続けてきました.

gt4f90io は, davis プロジェクトの一つである, 「gtool4 プロ ジェクト」の一環としてその開発・保守が行われているものです. このプロジェクトの目的は, 地球流体現象を研究する際に使用す るデータの形式, およびそれらを扱うための I/O ライブラリを行 うことにあります. データ形式に関しては, 自己記述的でネット ワーク透過なファイルフォーマットとして netCDF を採用し, netCDF 上の記述規約として, 地球流体現象の記述に適切な多次元 数値データの表現を模索するべく「gtool4 netCDF 規約」を策定 中です. gtool4 netCDF 規約に基づく形式のデータ (gtool4 netCDF データ) のためのFortran 90 I/O ライブラリが今回紹介 する gt4f90io です.

gt4f90io は Fortran90 で書かれた数値モデルのためのデータ I/O ライブラリであり, モデル結果の gtool4 netCDF データへの 出力, および, gtool4 netCDF データの数値モデルへの入力のた めのモジュール・サブルーチン群を提供します. また, 特徴とし て, 数値モデルを開発・使用するユーザに, データ I/O のための シンプルで分かりやすいインターフェースを提供します. モデル 開発者は, ユーザインターフェースである「gt4_history」モジュー ルの4 つのサブルーチンを使用するだけで gtool4 netCDF データ を出力することができることが可能になります. しかしまだ課題 として, gtool4 netCDF 規約との対応や, ファイルの出力サブルー チンの機能が不十分という点が挙げられます. 今後はこれらの開 発により, ソフトウェアの完成度を高めて逝きます.

今回の gt4f90io と同じく, davis プロジェクトの一つである 「電脳 Ruby プロジェクト」によって解析・可視化のためのツー ルの開発も進み, メカニズムを理解するための基盤は整いつつあ ります. これらを基盤にした, 理解のための数値モデルの開発の 試みとして, 「階層的地球流体力学スペクトルモデル集 (SPMODEL)」も紹介します.

発表資料:

http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~dm2semi/2004/0421/pub/


04/28 (水) 13:30- 光田 千紘

タイトル:

原始火星における CO2 氷雲の安定性

要旨:

現在, 乾燥寒冷な気候をもつ火星ですが, 地形的証拠から形成初期 (38 億年 前) の気候は液体の水が安定に存在できるほど温暖湿潤であったと言われてい ます. 当時, 火星は厚い CO2 大気をまとっており, その温室効果を考慮すれ ば温暖湿潤な気候は一見可能なようにも思えますが, 当時の太陽光度は現在の 0.75 倍であり, 大気上層での CO2 凝結の効果を考慮するとそれ程まで温暖湿 潤な気候は再現されないことが指摘されています(Kasting 1991).

そこで, さらに温室効果させるシステムとして, CO2 氷雲の散乱温室効果が提 案されています(Pierrehumbert and Erlick, 1998, Yokohata et al, 2002). しかし, これまでの研究では雲の吸収射出過程を無視していたり, 考 慮している場合でも, 簡略化の為に地表および大気下層からの赤外放射フラッ クスが雲の安定性に与える影響を全く考慮してされていません. そこで本研究 では, 雲層下の大気の射出吸収過程を考慮して氷雲の安定性を再検討しました.

結果, 地表面温度が高温, 地表面気圧が低圧の場合のほうが氷雲は不安定にな りやすいことがわかりました. これらの条件は雲温度を下げる, すなわち雲の 冷却率を下げる方向に働くので, 雲は蒸発しやすくなります. しかし, 同じく 氷雲温度を下げる効果である H2O を大気中に混ぜた場合, 雲はより安定とな りました. これは雲へ入射する放射スペクトルのうち, CO2 が吸収帯を持っ ていない 0--400 , 1200--1600 cm^-1 での H2O の吸収によって雲へ入射する エネルギーが減少したためと考えます.

結論として, 火星の昼側面で氷雲は安定に存在することは難しいと言えます. しかし, このモデルでは雲の面密度の物理的論拠は少ないため, モデルとつじ つまのあう面密度をちゃんと導出する必要があるでしょう. また大気上端や地 表面での放射平衡が成立していないため, それらが平衡するように地表面気圧 /温度パラメータを決め直し, 改めて氷雲の安定性について検討を行いたいと 思います.

発表資料:

http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~dm2semi/2004/0428/dm2semi_040428.pdf


05/26 (水曜) 13:30- 柿並 義宏

タイトル:

金星電離圏ドレイプ磁場とホール

要旨:

金星には固有磁場がないことが Pioneer Venus Orbiter により確かめられた. 固有磁場がないことから太陽風が直接超高層大気に吹き付ける. そのため太陽 風の運動が超高層大気の状態を決定する. 太陽風によって引き起こされる現象 はいくつも報告されており, 地球では見られないような現象も多く興味深い.

このような現象の一つにホールと呼ばれる現象がある. ホールは夜側によく観 測されるプラズマの枯渇現象である. ホールには太陽方向を向いた強い磁場が 観測され, 惑星間磁場起源であると考えられている. 磁気圧とプラズマ圧がバ ランスしていることから準静的な現象であることが示唆されている. ホールで 観測される電子温度は周囲よりも高温となる場合と逆に低温となる場合がある. ホール成因については不明な点も多い.

ホールで観測される強い磁場はホール形成を解き明かす鍵である考えられてい るが決定的なアイデアはまだない. それどころか電離圏で観測されるドレイプ 磁場の形状さえあまり議論されてきていない.

本研究では今まで議論されてこなかった電離圏ドレイプ磁場の形状を明らかに すると共に得られた形状からホール内での電子温度の特徴を説明する. その結 果, 高い電子温度が観測されるホールには熱フラックスを与えてやる必要があ り, 逆に低い電子温度のホールでは熱フラックスを遮断する必要がある. これ はドレイプ磁場の形状から矛盾なく説明できる. ホールに熱フラックスを与え てやるとプラズマが電離圏外へ散逸していくことが確認された. 1 平方メート ル・1秒当たり O+ は 4.2x10^10 個, H+ は 8.5x10^11 個流出していることが 確認された.

発表資料:

http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~dm2semi/2004/0526/2004dm2semi.htm


06/09 (水) 13:30- 中神 雄一

タイトル:

タイタン大気の起源と進化

要旨:

タイタン大気には, 現在窒素分子が 90 % 以上メタンが数 % 含まれている. メタン分子は大気上層で太陽紫外線によって光分解され, 解離した水素原子は 宇宙空間に散逸し残りは重合反応によって重い分子となる. タイタン形成以来 現在の反応率で反応が進行してきたと仮定すれば 45 億年前には現在大気中に 存在する量のおよそ 100 倍のメタンが存在していたと見積もられる (Lunine et al., 1999). 一方窒素分子も原始太陽からの強い太陽風によるスパッタリ ングによって散逸を経験したとすれば 45 億年前には現在のおよそ 30 倍存在 していたものと予想されている (Lammer et al., 2000). もし原始大気中に 窒素, メタンが現在の存在度のそれぞれ 30 倍, 100 倍存在していたとしても, 窒素分子がメタンに比べ大量に存在する状況は現在と変わりない. このようにタイ タン大気においてはその歴史を通じて窒素分子がメタン分子に卓越していた訳であ るが, その起源物質中においてはその関係は逆転する. すなわち彗星中においては (窒素分子):(メタン分子) の値は 1:1, 太陽系存在度では 1:3, クラスレート への揮発物質の取り込みにおいては 1:1000-10000 となっている. このことから タイタン大気進化において窒素分子とメタン分子の存在度を逆転させるようなプロセ スが存在したものと考えられる.

近年の土星系 subnebula の研究によればタイタンが形成された領域の水素ガス圧はお よそ 0.1 bar に達したものと予想されている (Mosqueira and Estrada,2003). タイタンはその成長過程において周囲の水素ガスを捕獲して原始大気を形成したと考えら れる. 原始大気の上部境界をヒル半径に取り圧力を subnebula の値 100 K の 等温を仮定すると原始大気の質量は ~ 10^20 Kg となり窒素、メタンの存在度よりも 大きくなる. 本研究では, この大量の水素大気が solar nebula ガスの散逸にともなって 太陽からの極端紫外線 (EUV) によって大規模に散逸し (blowoff), その際にメタン分 子, 窒素分子の選択的な散逸が起こったと想定し, 起源物質と散逸後の大気で両者の存在度 の逆転が生じたか検討を行なった.

EUV エネルギーは Pepin (1991) から与え重力エネルギーとバランスさせることによって 水素散逸フラックスを求めた. EUV が時間とともに減少するにしたがってフラックスも減少 する. 水素以外の分子の散逸は水素の散逸にともなって起こるとすれば, 付随して散逸する分 子の最大分子量 (Crossover Mass ; CM) を求めることができる (Hunten et al.,1987). これより窒素分子は太陽系形成から 2.5 億年でメタン分子は 3.2 億で散逸を停止すること が予想される. つまり 2.5 - 3.2 億年の期間にメタン分子の選択的な散逸が行なわれる. CM = 30 の定常散逸を仮定し窒素分子とメタン分子の選択的散逸を見積ると, 彗星的な組成 を持つ起源物質であれば blowoff によるメタン分子の選択的散逸によって現在の窒素が卓越 する大気を説明することが可能である. またこのとき必要な水素の散逸量から, 原始大気にお ける水素の質量は 1.75x10^20 Kg と見積もられる. 太陽系存在度から与えられる Ar の存 在度を求め Ar は散逸の影響を受けずそのまま現在まで保存されてきたとして窒素分子との比 をとればおよそ ~ 10^-5 となり, 現在の大気の平均分子量からの見積もりと 3 桁も小さな 値になってしまう. このことからタイタンの Ar は脱ガスに起源を持つものと予想される.

発表資料:

http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~dm2semi/2004/0609/DM2_20040609.htm


06/16 (水) 13:30- 杉山 耕一朗

タイトル:

木星型惑星大気の熱力学計算: ギブス自由エネルギー最小化法による平衡熱力学計算

要旨:

惑星大気の構造・運動のモデリングにおいて本質的に重要である基本場として の平衡大気構造を計算する目的で, 従来より飛躍的に柔軟かつ適用範囲の広い 平衡熱力学計算コード oboro を新たに開発した.

oboro は大気の平衡大気構造をギブス自由エネルギー最小化法を用いて計算す る: 1) 温度圧力を固定し, 元素数保存の条件のもとギブス自由エネルギーが 最小化となる平衡組成を求める. 2)平衡組成を用いてエントロピーを計算す る. 3)断熱線 $dS = 0$ をエントロピーの保存される温度圧力を探索すること で求める.

ギブス自由エネルギーを最小化するための数値計算方法として, White et al (1958) の RAND 法を採用する. これは「条件つき最適化法」の「Newton 法」 に分類される計算手法で, ギブス自由エネルギーを適当な組成のまわりで 2 次関数に近似し, その極値を反復的に求める方法である.

今回の DM2 ゼミでは, RAND 法を中心に平衡熱力学計算手法を解説し, RAND 法を利用する際に問題となった諸々の熱力学的な議論を紹介したいと思う.

発表資料:

http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~dm2semi/2004/0616/pub/


06/23 (水) 13:30- 高橋 香織

タイトル:

木星電離圏モデル開発の開発に向けて

要旨:

木星電離圏はこれまでパイオニア,ボイジャー,ガリレオ探査機による 掩蔽観測が行われてきましたが,電離圏環境を理解するには情報が乏しく 未だその環境は未解明です.木星電離圏モデルはこれまでにも JIMモデル [Achilleos et al., 1998] や,156 種の光化学反応から下層電離圏の 密度分布を計算したモデル [Kim and Fox, 1994] などが開発されています.

本研究では, これまでのモデルでは議論されてこなかった上層電離圏の 環境も再現できるように磁力線座標系で1本の磁力線に沿って運動方程式と 連続方程式を計算しています.

DM2 ゼミでは,モデル開発の目的と現在確認できている結果について ご紹介します.

発表資料:

http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~dm2semi/2004/0623/20040623_dm2.htm


07/21 (水) 13:30- 山田 由貴子

タイトル:

水惑星実験における赤道域降水活動の wave-CISK による理解への試み

要旨:

地球の赤道域には, MJO (Madden-Julian 振動), スーパークラスター, クラウドクラスター)と呼ばれる組織化した階層的な降水構造がある ことが知られている. これらの降水構造に対して, Hayashi and Sumi (1986) 以来, 大気大循環モデルによる研究が多くなされてきたが, 未だにこれらの組織化構造についての理解はあまり進んでいないよう に思われる.

大気大循環モデルに表現される格子スケールの降水パターンの放射冷 却率鉛直分布依存性を水惑星実験によって調べたところ, 放射冷却率 が上層で最大値を持つ分布をとる時は降水域は東進, 下層で最大値を 持つ分布をとる時は西進するという結果を得た (山田 2004 ?, 修論).

この降水パターンの相違の原因として, wave-CISK メカニズム (Hayashi, 1970 他) の関与が示唆される. 本発表では, 山田 (2004) の結果を wave-CISK メカニズムによって説明すべく, 赤道β面ブジ ネスク方程式系を用いて数値計算, 及び考察中…, の結果を紹介する.

発表資料:

http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~dm2semi/2004/0721/pub/


07/28 (水) 13:30- 小西 丈予

タイトル:

f-平面浅水系における軸対称孤立渦の安定性

要旨:

円形の境界をもつf-平面浅水系において、軸対称孤立渦に関する 線形安定性解析および非線形数値実験を石岡(2003)によるスペク トル法に基づいて行った。

線形安定性に関しては、無限領域においてなされたFord(1994)の 結果と整合的であった。

また、非線形時間発展の結果、線形安定性解析で不安定なパラメ タに関して、渦の分裂する様子が捉えられた。

さらに、この過程で放出される重力波エネルギー等の検討を行った。

発表資料:

http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~dm2semi/2004/0728/pub/


10/06 (水) 13:30- 塚原 大輔

タイトル:

ハドレー循環と角運動量輸送 :現実大気のハドレー循環と関連する気候値の年々変動

要旨:

惑星大気の子午面循環は第一近似としての大気大循環構造を表すもの である. 特に地球対流圏のハドレー循環のような熱帯域の直接循環は 大気の主要な運動量, 熱バランスを担っており, その循環強度や幅が どのようなバランスのもと維持されているかを知ることは重要である.

軸対称流のモデルを用いてハドレー循環の幅や循環強度を説明する試 みが過去になされてきた(i.e. Held and Hou 1980, Satoh 1994). こ れらの研究は角運動量および熱バランスを考慮した簡単な考察から現 実のハドレー循環の構造を説明するものである. その結果は現実大気 のハドレー循環構造とそれなりに符合するものであるが, 実際の大気 では軸対称モデルでは表れない傾圧不安定波による角運動量輸送の寄 与を考える必要がある. そのためにはGCMや観測データを用いて波 動や不安定が及ぼす影響を解析するのが一つの方法である.

本発表では大気再解析データから現実大気のハドレー循環強度と関す る物理量の年々変動を示す. 最終目標は中緯度擾乱とハドレーセルの 間の角運動量収支を示すことであるが, まだ解析の途中であるため, 当日は変動の様子と今後の作戦についてお話したい.

発表資料:

http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~dm2semi/2004/1006/pub/


10/27 (水曜) 13:30- 柿並 義宏

タイトル:

金星電離圏プラズマと磁場

要旨:

金星は固有磁場を持っていない.そのため地球のように磁場で守られることなく, 太陽風と金星大気が直接相互作用を行い,運動量・エネルギーを交換する.そのた め地球には見られない様々な金星特有現象が見つかっている.この多くは太陽風と の相互作用によって生じると考えられている.

本発表では,これまでの金星観測の歴史を振り返り,どの時期にどのような発見が なされたかをまとめる.

太陽風の逆向きを X 軸,惑星間磁場が X-Y 平面上に存在するように Y 軸をとり, X x Y 方向を Z 軸とした太陽風座標系を定義し,その座標系での磁場,電子温度, 電子密度分布を調べた.

太陽風座標系で磁場の極性を調べると,Y = 0 の平面を境にし,磁場の極性が反転 していることが分かった.太陽風座標系では磁場はドレイプすることがわかる.す なわち電離圏での磁場形状は太陽風の向き,惑星間磁場の向きによってコントロー ルされていることが分かる.

電子温度では局所的に密度の減っている場所が見つかり,電子密度には局所的な温 度上昇が見つかった.これはホールを見ている可能性がある.

発表資料:

http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~dm2semi/2004/1027/index.htm


11/24 (水) 13:30- 高橋 香織

タイトル:

木星電離圏の形成に関わる諸パラメータの重要性の検証

要旨:

木星電離圏のモデル開発は, 全球的なダイナミクスの研究と, 局所的 光化学反応の研究が行われてきた. 70 年代の Pioneer 10, 11, Voyager 1, 2 による電子密度観測や近年のハッブル宇宙望遠鏡 HST, NASA の赤外 線望遠鏡 IRTF によるオーロラ観測により木星電離圏の構造や成分が明ら かになりつつある.

この限られた情報から木星電離圏全球にわたる形成過程を理解する方法 としてモデリングは非常に有効な手段である. そこで我々は磁力線座標系 で粒子を流体的に扱った1 次元の電離圏モデルを開発した. このモデル計 算から, 軽いイオンで形成された木星電離圏は外部からの変動を受けやす く不安定な環境である可能性を見出した. 本セミナーではこの構造を決定 し得る要因を探るべく, 諸成分の生成率を比較した結果などを御紹介する.

発表資料:

http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~dm2semi/2004/1124/DM2-1124.htm


12/15 (水) 13:30- 小松 研吾

タイトル:

磁気嵐時の放射線帯 「つばさ」観測と radial diffusion モデル

要旨:

放射線帯は 1958年に Van Allen らによって発見され、その後の研究に より地磁気の変化に伴ってその構造が激しく変動していることが明らか になったが、その詳細なメカニズムについては未だ明確にされていない。

今回の DM2 ゼミでは 2002年2月4日 に打ち上げられた実験衛星「つばさ」 (MDS-1) のデータを用いて得られた、放射線帯の全体像と地磁気の変化に 伴う変動の様子を紹介する。また、簡単な radial diffusion モデルを用 いた磁気嵐時の数値シミュレーションの(途中) 結果を紹介したい。

発表資料:

http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~dm2semi/2004/1215/pub/


12/22 (水) 13:30- 光田 千紘

タイトル:

古火星湿潤大気における散乱温室効果

要旨:

現在寒冷な気候を持つ火星も, 初期はCO2氷雲の散乱温室効果によっ て温暖湿潤であった可能性が提案されている. 過去の研究でも適切な 雲パラメータ条件下では確かにそのような気候が再現されることがわ かってきた.

しかし, 温暖な大気中では雲は強い席外加熱を受け, 蒸発する可能性 がある. 本研究では放射伝達計算により温暖なCO2-H2O大気における 雲の散乱温室効果とその正味放射に対する安定性について検討した.

その結果, 雲の面密度と放射過程による正味加熱の負のフィードバッ グによって気候を安定化させるメカニズムがあることがわかった. ま たこの場合大気圧 1 気圧, 雲粒半径 10 ミクロンでは地表面温度 290 K と見積もられた.

発表資料:

http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~dm2semi/2004/1222/pub/DM2semi_20041222.mov
http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~dm2semi/2004/1222/pub/DM2semi_20041222.pdf


01/26 (水) 13:30- 中神 雄一

タイトル:

原始タイタン大気の大規模散逸の可能性

要旨:

原始タイタンが周土星系円盤の水素を集積して原始大気を形成すると, 水素を主成分とする原始大気は地表面で数百気圧に達したものと見積 もられる. そこから現在の 1.5 気圧の大気を説明するには大規模な 散逸過程が存在したことは明らかである. 恒星の X 線観測などから, 形成後数 Myr 経過した恒星は現在の太陽の数百倍の極端紫外線 (EUV) を射出していることが知られており, 大規模散逸に必要なエネ ルギー源となった可能性がある. 大規模散逸はタイタンの大気組成に 大きな影響を与えたはずであるが, これまで定量的な議論は行われて 来なかった.

本研究の最終的なゴールは, 水素を主成分とし窒素, メタン, アンモ ニア等を含む原始大気からの大規模散逸を, 放射によるエネルギー輸 送も考慮して解き, 大規模散逸がタイタン大気の進化にどの程度影響 を与えたか見積もることである. 又, 地球型惑星大気の希ガス組成も 大規模を示唆する値を示している事から, この研究を通じて惑星大気 からの大規模散逸について一般的な理解を得たいと思っている. この ようにして太陽系で得られた知見は, 系外惑星系の Hot Jupiter か らの大気流失問題についても応用可能であると期待している.

発表資料:

http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~dm2semi/2004/0126/index.html


02/23 (水) 13:30- 塚原 大輔

タイトル:

再解析データを用いた帯状平均場の解析

要旨:

近年, 大気再解析プロジェクトが欧米や日本の気象機関によって行われ ており, 均質なデータを長期間にわたって眺める気運が高まってきてい る. そこで長期間変動の参照値となる気候値を用いていわゆる教科書的 図表の作成と web 上での公開を行っている. また再解析データ同士の 相互比較や数値モデルの結果との比較を容易にするために, 大気再解析 データを統一したデータ形式に整備しWeb 上に公開するということを試 みた. 発表ではこれら一連の作業について紹介する. その際に図表の作 成やデータハンドリングに用いる Ruby プログラムについても紹介し, 気象解析に Ruby を利用する利点についてお話する. 最後に上記のデー タと解析プログラムを用いて得られたハドレー循環と諸量の年々変動の 関係について紹介する予定である.

発表資料:

http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~dm2semi/2004/0223/pub/


00/00 (曜) 13:30- ○○ ○○

タイトル:

○○○○○○○○○○○○

要旨:

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

発表資料:

http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~dm2semi/2004/0419/html/


最終更新日: 2004/04/21 森川 靖大