CO2雲を考慮した
火星対流計算
もくじ
- はじめに
- 雲物理の基礎
- 火星大気と雲物理
- 数値計算の手順
- 計算設定
- まとめ
はじめに
火星大気の特徴
- 地表面気圧: 約 7 hPa
- ほとんどCO2
- 大気主成分が凝結
火星大気におけるCO2の雲
雲と対流場の関係は?
- 火星において雲と対流場の関係はどうなっているのか?
- 対流場が雲に与える影響は?
- 雲が対流場に与える影響は?
- 潜熱の放出
- 主成分であるCO2 の凝結に伴う密度, 圧力の変化
- 非静力学モデルによるシミュレーションで調べてみる
雲物理の基礎
核形成
- 雲粒が生成されること
- 湿度100%でも核形成が起きるとは限らない
- 大気中に微粒子があると低い過飽和度で核形成が起きる
雲粒の成長過程
拡散成長の式
- 仮定
- 雲粒は球形
- 雲粒のまわりの空気は定常かつ等方的
- 凝結熱は熱伝導によって輸送
- 雲粒の拡散成長の式
- (M: 雲粒1個の質量, r: 雲粒半径, Res: 抵抗係数, s:過飽和度
- Kd: 熱拡散係数, Rv: 蒸気の気体定数, T: 温度)
雲粒の落下
- 仮定
- 雲粒は球形
- 落下速度は終端速度
- 雲粒の受ける抵抗力はストークスの法則に従う
- F = 6 πμrV (μ: 粘性率, r: 半径, V: 落下速度)
- 落下速度は
- V = Csc2r2gρ/9μ (ρ:密度)
- Csc=1+1.255λ/r : カニングハムの補正係数
- (λ: 平均自由行程)
併合成長の式
- 仮定
- 雲粒の種類は大(半径R, 落下速度V), 小(半径r, 落下速度v)の2種類のみ
- 小さい雲粒の数密度はNで一定
- ぶつかった雲粒は全て取り込まれる
- 併合成長の式
- (M: 大きな雲粒1個の質量, N: 小さな雲粒の数密度, : 凝結相の密度)
火星CO2氷雲の雲物理
- 拡散成長と併合成長の成長速度の比較
- 凝結の時間スケールの見積もり
大雑把な見積りのための仮定
- 考える相変化はひとつだけ
- 大気中のダストを核として核形成が起こる
- ダストの数密度: 108 /kg (一定)
- 雲粒半径: 10-5 m(一定)
雲粒の落下速度
- 雲粒の落下速度を大雑把に見積もると ~1 cm
- 重力による雲粒の運動は小さい
成長速度の見積もり
- 拡散成長と併合成長の雲粒1個あたりの成長速度を大雑把に見積もる
- 拡散成長 ~ 10-12 kg/s
- 併合成長 < 10-14 kg/s
- 併合成長による成長速度は拡散成長による成長速度に比べて十分に小さい
- 雲粒は拡散によって成長
凝結の時間スケール
- 雲粒成長の時間スケールを拡散成長の式から見積もる
- 凝結の時間スケールは ~ 1000 秒
- 他の現象の時間スケールに比べてかなり長い
数値計算
- 非静力学モデル
- 凝結計算のあつかい
- 数値計算の流れ
非静力学モデルによる計算
- 非静力学モデルを用いて火星の雲対流の様子を計算(しようとしてる最中)
- deepconv/arare
- 主成分の凝結を考慮
支配方程式
- v=(u, w) : 速度, : 無次元圧力, : 温位, : 雲の密度, Mcond: 凝結量,
- Mfall: 落下量, cp:定圧比熱, cv: 定積比熱, R: 大気の気体定数,
- : 大気の密度, T: 温度, L: 潜熱, Qdis: 散逸加熱, Du, Dw, D : 拡散項
凝結量の計算
- 拡散成長の式を解く
- 雲の有無で場合分け
- 雲が存在しない場合
- 雲が存在する場合
- S > 1 で凝結
- S < 1 で蒸発
- 雲の量が負になった場合, 雲の量がゼロになるように蒸発量を減らして補正する
時間積分の方法
- Time Split 法
- 雲物理は長い時間ステップで計算
数値計算の流れ
- 凝結に伴う変化量は長い時間ステップで計算
- 計算の流れ(赤字は凝結に関連する量)
- 長い時間ステップ
- 凝結量
- 固相密度
- 温位変化(移流, 拡散, 放射加熱, 散逸加熱, 潜熱)
- 速度変化(移流, 拡散, 浮力)
- 圧力変化(凝結)
- 短い時間ステップ
簡単な系で計算
ページ 25
- 空気塊の上昇実験
- 下層に暖かい空気塊を置いて断熱上昇させる
- 上空で飽和(正確には過飽和)し凝結
計算設定
- 基本場の温度分布
- 地表面温度, 等温層の温度, 過飽和度の値
- 観測事実や過去の研究に基づいて与える
- 現在調査中...
- 続きは修論で...
まとめ
- 火星のドライアイスの雲
- 拡散成長が卓越
- 雲粒の運動は主に移流
- 凝結の時間スケールは長い
- 火星大気における凝結の数値計算
- 凝結を考慮した準圧縮方程式
- 凝結に関連する項は長い時間ステップで計算
- 空気塊の上昇実験をやる予定