日本語環境の構築   ▲ Indexヘ
最終更新日 : 2007/03/05(岩堀智子)  <<  作成日 : 2003/02/07(森川靖大)

本ドキュメントは, DNS サーバにおいて日本語の表示・入力を 可能にするための手引である.


  1. 日本語の表示
  2. 日本語の入力 (emacs)
  3. 日本語の入力 (kinput)
  4. ユーザへの設定ファイルの反映

1. 日本語の表示

以下では, 日本語を表示するために必要となる手順を示す.

[1.1] locale の設定

日本語 locale の設定を行う. まずは以下の一行を /etc/locale.genに書き足す.

ja_JP.EUC-JP EUC-JP

そして, 以下の locale-gen コマンドを実行する.

# locale-gen [Enter]
Generating locales...
  ja_JP.EUC-JP... done
Generation complete.

[1.2] 言語環境変数の設定

言語環境変数である LANGLC_ALL を 日本語用に設定する. 具体的には以下のようにすれば良い.

$ export LANG=ja_JP.eucJP [Enter]
$ export LC_ALL=ja_JP.eucJP [Enter]

この設定を毎回のログイン時に有効にしたいのならば, ~/.bash_profile~/.bashrcに 以下のように記述しておくと良い.

export LANG=ja_JP.eucJP
export LC_ALL=ja_JP.eucJP

なお, 余談だが言語環境を英語に戻したいのならば, 以下のようにすると良い.

$ export LANG=c [Enter]
$ export LC_ALL=latin1 [Enter]

[1.3] kon (Kanji ON console) のインストール

日本語を見るには, X Window System を用いても良いが, コンソール上で日本語を見る方法もある. それを可能にするのが kon2 パッケージである.

# apt-get install kon2 [Enter]

kon2 は, コンソール上で以下のように入力することで起動できる.

$ kon [Enter]

すると kon が起動し, 日本語表示可能なコンソールに画面が切り替わる. なお, 終了するには

$ exit [Enter]

とすると良い. (※ kon 上から X Window System は起動できないので注意!!)


[1.4] 日本語マニュアル (man) のインストール

日本語のマニュアル (man) が見たい場合には manpages-ja パッケージをインストールする.

# apt-get install manpages-ja [Enter]

既に上記の[1.1] locale の設定 [1.2] 言語環境変数の設定 が完了しており, X Window System または kon 上ならば 以下のコマンドで man(1) の日本語マニュアルを見ることが出来るはずである.

$ man man [Enter]

[1.5] 日本語ビューア jless のインストールと置き換え

日本語ビューアである jless パッケージをインストールする. なお, potato 版では jless は less に置き換えられ, less を用いて日本語ファイルを見ることが可能だったが, woody 版では jless を使わなければ日本語を見ることが出来ない. このことから, 以下では less を jless に置き換える方法も紹介する.

まずは jless をインストールする.

# apt-get install jless [Enter]

/usr/local/bin/less/usr/bin/jless への シンボリックリンクにしてしまう.

# ln -sf /usr/bin/jless /usr/local/bin/less [Enter]

less にて日本語ファイルが読めるかどうかを確認する.


[1.6] 文字コード変換ツール

[1.6.1] インストール

日本語文字コードを変換するためのツールも便利なのでインストールする. DNS サーバでは代表的な変換ツールである nkf, qkc をインストールする.

# apt-get install nkf qkc [Enter]

[1.6.2] qkc の使い方

簡単に qkc の使い方を紹介する.

$ qkc [オプション] [ファイル名][Enter]

オプションには以下のものがある. 詳しくは qkc(1) を参照して欲しい.

オプション 説明
-e 文字コードを EUC に変換
-j 文字コードを JIS に変換
-s 文字コードを Shift-JIS に変換
-u 改行コードを LF (UNIX) に変換
-m 改行コードを CR LF (Windows) に変換
-ma 改行コードを CR (Macintosh) に変換

以下のようにすると, カレントディレクトリの .tex ファイルを 全て UNIX で良く使われる文字/改行コードに変換できる.

$ qkc -e -u *.tex [Enter]

リダイレクトを用いれば別のファイルに書き出すことも可能である.

$ qkc -s -m euc.tex > shift-jis.txt [Enter]

2. 日本語の入力 (emacs)

以下では, language-env で日本語環境を構築する.

[2.1] 設定ファイルの作成

language-env を用いて日本語環境を構築する.

$ set-language-env[Enter]

構築する言語をたずねられるので 8 : ja (Nihongo,Japanese) を選択する.
その後は次々と各種設定ファイルを作成してくれる.
最後にインストールすべきパッケージが示されるのでそれらをインストールする.


[2.2] パッケージのインストール

指示されたパッケージをインストールする.

パッケージ 解説
ja-trans, tcsh-kanji, doc-debian-ja, doc-linux-ja-text, xemacs21-mule-canna-wnn  

[2.3] ~/.emacs の作成

emacs を起動した際には設定ファイルである ~/.emacs が読み込まれる. language-env によって emacs 起動時にデフォルトで日本語変換が可能なように ~/.emacs が作成された.

以下のような記述が含まれているはずである.

(set-language-environment "Japanese")
(set-default-coding-systems 'euc-japan)
(set-terminal-coding-system 'euc-japan)
(set-buffer-file-coding-system 'euc-japan)
(set-default-font "-*-fixed-medium-r-normal-*-16-*-*-*-*-*-fontset-standard")
(progn (load-library "canna" ) (canna) )
(global-set-key "\C-o" 'canna-toggle-japanese-mode)

上記の設定ファイルを簡単に解説すると,


3. 日本語の入力 (kinput)

以下では, kinput-canna にて ブラウザやターミナル上で日本語入力が行えるようにする. なお, X Window System を用いていないのならば 以下の設定は必要ない.

[3.1] パッケージのインストール

以下のパッケージをインストールする.

パッケージ 解説
kinput2-canna canna を用いた kinput パッケージ

[3.2] 各種設定ファイルの編集

[3.2.1] ~/.bashrc, ~/.bash_profileの編集

この両設定ファイルに以下の1行を追加する.

export XMODIFIERS="@im=kinput2"

[3.2.2] ~/.xinitrcの編集

この X Window System 用設定ファイルに以下の3行を追加する.

xrdb -merge ~/.Xresources
kinput2-canna&
exec <ウィンドウマネージャ>

[3.2.3] ~/.Xresourcesの編集

この X Window System 用設定ファイルに以下を追加する.

*inputMethod:   kinput2
#define XIM kinput2
Kinput2*conversionStartKeys: Shift<Key>space
krxvt*inputMethod: XIM
krxvt*kanji_encoding:    eucj
KTerm*inputMethod: XIM
KTerm*VT100*KanjiMode: euc
KTerm*openIm: true

[3.2.4] ~/.emacsの編集

emacs にて kinput による日本語入力を行うために ~/.emacs に以下の1行を追加する.

(set-keyboard-coding-system 'euc-japan)

[3.3] 確認

上記の設定が終了した時点で, kinput が利用可能になっているはずである. まずは一度 X を終了し, 設定を読み込んだ後に再度 X を起動する.

X を終了...
$ source ~/.bashrc [Enter]
$ startx [Enter]

後はターミナルやブラウザ上で Shift + Spaceを 押すことで kinput が起動し, 日本語入力が可能になるはずである.

余談: wmaker ユーザのために...

あなたが不幸にも Window Manager として wmakerを 利用している場合はブラウザ上で kinput がうまく動作しないかも しれない. その場合には, 以下の内容を ~/GNUstep/Defaults/WMWindowAtributes に書き加えると良い.

Kinput2 = {
  NoTitlebar = Yes;
  NoResizebar = Yes;
  NotClosable = Yes;
  NotMiniaturizable = Yes;
  KeepOnTop = Yes;
  Omnipresent = Yes;
  SkipWindowList = Yes;
  NoHideOthers = Yes;
  NoKeyBindings = Yes;
  NoMouseBindings = Yes;
  KeepInsideScreen = Yes;
  NoAppIcon = Yes;
  Unfocusable = Yes;
  DontSaveSession = Yes;
};

4. ユーザへの設定ファイルの反映

上記で日本語の表示・入力をおこなうための設定を行ったが, 以後は, 新たに作られるユーザにこれらの設定が反映されると 便利である. 以下ではその方法を記す. なお, これはあくまで DNS サーバだから行うことである. WWW や Mail においては多数のユーザにサービスを行っているため, これら設定ファイルの反映に関しては少しデリケートに考える必要がある.


[4.1] 各種設定ファイルを /etc/skel/ 以下に移動

# cp ~/.emacs ~/.bashrc ~/.bash_profile ~/.xinitrc ~/.Xresources /etc/skel/ [Enter]

/etc/skel 以下に置かれたファイルは, アカウントが作成される際に, 各ユーザのホームディレクトリにコピーされる.

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