EP Net Fan
10 月 08 日
大学における計算情報環境

Unix や Internet の文化と利用の仁義

  • 伝統的大前提
    無保証, 自分で自分の環境を構築できる. その変わり, 自分の責任に おいて何をやっても良い.
  • Unix はそもそも, 無保証
    何が起こっても知らんよ, そのかわり, ソースコードが(有料だけど) 容易に手に入り自分で自分の環境を好きに構築できる, という点で先 進的な研究者にうけてきた.
    だから US Defense でさえも BSD を採用したのである.
    多くのアプリケーションソウフトウェア (X や mule や \TeX だとか 諸々) は今だにその精神のまま作られている. 現在も活発な活動が続 いている.
    さらにいえば, お互いに資源(特にソフトウェア)を提供し合い使い込 むことにより, よりよい資源を構築していこうという精神である. 結 局最終的にはこの作戦の方が良いものが作られてきたという実績があ るから面白い.
  • 伝統的には, 利用者には...
    「使用料を誰かに払えばおしまい」というタイプの義務が課せられて いることは少ない.
    逆に,
    少なくとも製作者に迷惑がかからない, 提供されたもののクレジット を勝手に変更したり, 事情を知らない人に売りとばしたりしてはいけ ない,
    という形の義務が付されている. (cf GNU 宣言)
    後は好きに使ってもらって, より良い道具やアイデアが提供されるの を利用者は周囲は期待しているわけである.
    要すれば単なる利用者から一歩進んで
    自発的に何らかの形で貢献するというボランティア精神
    が要請されていたのである.
  • Internet はそのような Unix 文化の上に構築されてきている.
    -> 自分のことは自分でやらなくてはならない.
    いまや Internet や Unix は先端的研究者以外の その多大勢が使うよ うになってきたのでもはやこの精神が当てはまらない かも知れない.
    あてはまらないと主張する人々はお金を払って 商用のネットワークを 用いなければならない.
    またお金を払って計算機管理者を雇わなくてはならない.
  • 幸か不幸か大学での活動はこのような Unix 精神と整合的であった.
    大学領域の情報環境は正統派(?) Unix / Internet の精神をそのまま 継承した環境になっている.
    大学領域は少なくとも現状では商用ネットワーク領域ではなく 研究ネットワーク領域(つまりネットワークの実験場であり, 諸々の道具や概念の生成流転, 失敗の蓄積などが期待されている 場) として格安(ただ)で諸々の資源が利用ができる.
    逆に, 大学領域に住んでいる限り少なくと自分のことは自分でやらな ければならないし, 本当はそれどころか人々が利用できるようにネッ トワークを発展させることを(ただでやるように)要請されているので ある.
  • 逆に, 単なる利用者としての学生・教官・職員としては
    一部の私立大学を除けば, まだまだ 安定した教育研究環境の提供という, 「プロバイダ」状態には, 能力的, 予算的, 人的に遠い.
  • 北大の場合は
    全学ネット: HINES 運用掛 (www.cc.hokudai.ac.jp)
    全学に対するネットワークプロバイダ.
    建物内ノードまでの物理的配線の設計
    (本来は部局レベルに対する) IP アドレス, ドメインネームの管理
    各部局・学科: 部局や学科に任されている.
    構成員や研究室へのプロバイダ.
    建物内部のネットワーク
    IP アドレス, ドメインネームの管理
    アカウント
    情報メディア教育研究総合センター:
    学部学生を主にした構成員へのアカウント提供
    これらの運営は
  • HINES を維持しているのは大型計算機センターにある HINES 運用掛であるが, それだけでは足らない.
  • 実際のソフトなメンテナンス (メールやニュースのいききを必要に応じてチェックしたり, 場合によってフィックスしたり)をしているのは 要所要所をケアしている学生中心のボランティアたちである. 技官スタッフ, 教官スタッフの数が圧倒的に足らないか, 進歩が速くてトレーニングがおいつかなず実践力においてきびしい.
  • 建物レベルのネットワークは各部局・学科で管理しているが 専用のスタッフをそろえているところはほとんどない. 学生中心のボランティアたちが活躍しているところでは うまくいっているがそうでないところはかなり悲惨である.
  • よって
    自分のことは自分でやらなくてはならない.
    人に迷惑をかけてはならない.
    もう一歩進んでボランティアできることを 考えなくてはならない.
  • 地惑専攻の場合は
    専攻の教官組織「専攻ネットワーク委員会」が統括
    保証人(いわゆる教官)と利用者(ユーザ)を明解にする
    保証人(いわゆる教官)と管理者(いわゆるルート)を明解にする
    ルートは絶対である. 利用者はルートに服従しなければいけない.
    管理分割
  • 専攻共通資源
  • 専攻基盤ネットワークシステム
    専攻サーバーシステム
    EPNetFan機器
    その他いくつかの共通資源
  • 研究室資源, 個人資源
    保証人は
    研究室教官
    管理者
    当該居室住人の誰か(通常学生)
  • 参考書, 参考文献

  • 村井純 インターネット 2 岩波新書