ここでは計算機をひろく情報処理と通信をデジタル信号を使って行う機器群と します. この意味では普通のコンピューターはもちろん, プリンターとか いろいろな賢い家電製品, あるいは観測衛星や惑星探査機なども計算機です.
こうした計算機同士の通信にはある種の会話文法が必要です. これを通信 プロトコルといいます.
通信プロトコルにはたくさん種類があります. ある会社 独自のものとか, 特定の機種同士にしか有効でないものとかいろいろです. しかし, 通信プロトコルがまちまちでは世界的な計算機同士の通信は無理なので, 世界標準を目論んだ通信プロトコルが各種開発されてきました.
そのなかの競争 を勝ち抜き, 現在地球上あまねく普及しているのが TCP/IP というプロト コルです. 現在販売されているコンピューターのほぼ全てがこの プロトコルで通信できるようになっています.
TCP/IP は Transmission Control Protocol (TCP) と Internet Protocol (IP) の二つのプロトコルを階層的に組み合わせて作られたプロトコルです. 実際上ほとんど一体のものと考えて構いません.
名前が分かれたままになって いるのは役割分担があるためです. 大雑把には
これらの詳しい内容は別の機会に回します.
IPアドレスやDNSといった設定は, このTCP/IPを通信プロトコルにするときに
必要になるものです.
必要があります. 大抵の場合は前者は計算機の持ち主が行い, 後者は ネットワーク管理者が行います. 両者は事前に打ち合せておかなければ なりません.
以下は計算機の持ち主が計算機に記入しなければならない情報です.
記入項目 | 記入例 |
ホスト名 | ohyo |
サブドメイン名 | ep.sci.hokudai.ac.jp |
IPアドレス | 133.87.45.13 |
ネットワークアドレス | 133.87.45.0 |
(サブ)ネットマスク | 255.255.255.128 |
ブロードキャストアドレス | 133.87.45.127 |
DNS サーバーアドレス | 133.87.45.70, 133.87.45.66 |
以下ではそれぞれの項目の意味を見て行くことにします.
IPアドレスはもともと2進数32桁 (32ビット) の数字ですが, 分かりやすいよう
に8桁づつ区切り4桁の256進数で表されています (2の8乗=256). 各桁は10進数表
示され, 桁間はピリオド「.」で区切られています.
IPアドレスと ドメイン名の対応表は Domain Name Server (DNS) に登録されており, この サーバーは「ドメイン名とIPアドレスの対応を教えてあげる」働き をします.
ドメイン名の付け方は郵便住所の付け方 (○国○州○市○町○番地○マンション○号室) と同様にうまく階層化されています. 上記の例では
例 |
ohyo. | ep. | sci. |
hokudai. | ac. | jp |
意味 |
ホスト名 | 地惑専攻サブドメイン |
理学部サブドメイン | 北大サブドメイン |
学術機関サブドメイン | 日本サブドメイン |
同レベルの他のサブドメイン名 |
--- | math |
ees |
u-tokyo |
ad |
com |
という構造になっています. 右側のサブドメインほど上位にあります. この各サブドメインは基本的にそれぞれ異なる DNSサーバーによって管理されています.
ある計算機に着目した場合, そのドメイン名とIPアドレスの対応はこれらの
DNSサーバーのどれかに登録されています. DNSサーバーは隣のレベルのDNSサーバー
と情報通信をするようになっています. 樹形図状に検索を行うことで,
ドメイン名をたよりにIPアドレスを知ることができます.
この連続したIPアドレスをもったネットワークをサブネット, あるいは単に ネットワーク (a network) といいます.
ネットワークアドレスはこのサブネットを識別する数字です.
この仕組みをもうすこし詳しく解説します. IP アドレスを 36 桁の 2 進数表示します. 一つのサブネット内 のIPアドレスのかたまりを順番に並べると下位何桁かが連続的に 変わるしくみになっています.
この下位桁をホストアドレス部 といいます.
これに対して固定されている上位桁をネットワークアドレス部 といいます.
ネットワークアドレスとはこの
ネットワークアドレス部が作る数字のことです.
ホストアドレス部の下位桁全てに0を代入した数字であらわします.
上記の例ではネットマスクは
IPアドレスとネットマスクの同じ桁同士のANDをとる
(0 AND 0 = 0, 1 AND 0 = 0, 0 AND 1 = 0, 1 AND 1 = 1)
とサブネットを特定するネットワークアドレスが得られます.
ネットワークアドレスと
ブロードキャストアドレスは特定の計算機のIPアドレスとすることはできません.
上記の例では, 128-2=126台の計算機にIPアドレスを割り当てることができます.