「実用 HTML 作法」


はじめに

HTML(HyperText Markup Language)が発展し普及した要因は、 その文法がシンプルであったこともあるが、ここまで一般大衆にまで 浸透したのはブラウザが賢かったことでもある。 本来の文法から外れたいい加減な HTML ドキュメントでも、 健気なブラウザはそれらしく表示してくれた。

しかし、それは汚いソースを氾濫させることにつながった。 特に複数の人間でページを管理する際、大変なことに……。

では、どのような事に気を付ければいいのか? 歴史的背景からそれを辿ってみよう。


HTMLの歴史

1989年

CERN(ヨーロッパ素粒子物理学研究所)に在籍の Tim Berners-Lee、 他の研究者と簡単に情報を交換したいと考え、NeXT Cubeを使って HTML を作る。

これはテキストベースだったのでどんなエディタやワードプロセッサーでも WWW 用ドキュメントを作成することができ、またタグの数も数えるほどだった。 誰にでも簡単に、半日あれば十分マスターすることができたため、WWW は激的に増殖した。

1990年代初頭 イリノイ大学の NCSA(National Center for Supercomputing Applications :全米スーパーコンピュータ応用研究所)が、 WWW 上のコンテンツ量の増加に伴う、初期の簡素な HTML の改良の必要性に応じ、 もっと機能を加え、すべてのどんなプラットフォームで誰もが HTML を読めるようにと、 Mosaic ブラウザを使用してプロトコルを強化する。
1993年

HTML メーリングリスト上で議論が交わされ、 ついに当時学生だった Marc Andreessen 氏が Mosaic ブラウザに <IMG> タグを投入。ドキュメント内にイメージやアイコンを 埋め込めるようになる。

WWW の機能は、Web ページの書き手と WWW ブラウザの供給元とが HTML に関する共通認識を持つことで成り立っている。 このため、HTML の共通仕様を定めるための協同作業が始まりまった。 (例:HTML+)

Tim Berners-Lee 、創設されたばかりの W3C (The World Wide Web Consortium:WWW 協会)に参画。 Marc Andreessen はカリフォルニアに出て小さなブラウザ会社、 Netscape を設立。

1994 - 1995年

IETF(Internet Engineering Task Force)の支援の下、 1994年終盤の一般的慣行を成文化する形で HTML2.0(1995年11月版)がまとめられる。 これ以降の HTML 規格勧告は W3C に委ねられた。

Netscape がシェアを伸ばすべく、独自の拡張を始める (<background>, <frame>, <font>, <blink>)。 そこに Microsoft が参入、Netscape を潰すべく画策する (<marquee>, <iframe>, <bgsound>)。 一方 W3C はこの間ずっと、HTML3.0 と呼ばれる、結局どのブラウザにも対応していない 高級な新機能(<banner>, <fig>)の満載された提案文書を、 イライラしつつ後押しし続けていた。

1997年

W3C が HTML 戦略を路線変更。未来の到達不可能なランゲージ像を思い描くことから、 ブラウザリリースの現状に関する情報集めや記録取りに変わる。 HTML3.0 の構想は諦められ、代わりに技術的レベルは落ちるがシンプルな 3.2 バージョンの開発に取り組む。

1月、W3C により HTML3.2 が勧告される。 主な新機能はフレーム属性とテーブル。現在世間に出回っているブラウザでは大抵これに準拠している。 (対応ブラウザ:Netscape Navigator 3.0, Internet Explorer 3.0, Lynx 2-5 以降)

12月、W3C により HTML4.0 が勧告される。 主な新機能はフレームおよびスタイルシートに対する拡張で、 文章の構造と表現(プレゼンテーション)の分離が計られている。 (対応ブラウザ:Netscape Navigator 4.0, Internet Explorer 4.0 以降)

1998年 - 2月、W3C により XML(Extensible Markup Language)普及促進の勧告が出される。 XML は拡張可能なタグを仕様に取り入れた新しい Markup Language。 HTML よりさらに SGML(Standard Generalized Markup Language [ISO8879])に近く、 表現の自由度が増している反面、習得が難しくなっている。 (対応ブラウザ:Netscape 6, Internet Explorer 5.0 以降)

HTML(HyperText Markup Language)

WWW で用いられるハイパーテキストを記述するための言語が HTML である。 もともと HTML は SGML(Standard Generalized Markup Language)の 部分集合として策定された。 しかし実のところ初期の HTML は、SGML 応用系と呼べるようなものではなく、 例えば文末に<P>を付けられたりした。HTML が SGML 応用系として確立したのは、HTML2.0 になってからである。 その後、ブラウザメーカーによる拡張の結果、 HTML には見栄えを記述する仕様が大量に取り込まれたが、HTML 4.0からは、 文書の論理構造を記述するという本来の目的に立ち返って、見栄えの記述を スタイルシートを使って行うよう改められた。

これは余談だが、スタイルシートには Cascading Style Sheet(CSS)と Javascript Style Sheet(JSS)と2タイプある。

HTML で意味づけに用いられるタグは、 DTD(Document Type Definition)によって定義されている。 すなわち <element-name>...<element-name> のような表現形式。

例:

<HTML>
<HEAD>
<TITLE>タイトル</TITLE>
</HEAD>
<BODY>
<H3>専攻ネットワーク</H3>
<UL>
	<LI><A href="/~netcom/index.html">専攻ネットワーク委員会</A>(運用規定など) 
	<LI><A href="/~epcore/index.html">専攻計算機ネットワーク</A> 
	<UL>
		<LI>専攻サーバーへのアカウント登録, 継続/変更, 抹消 
		<LI>専攻 DNS への IPアドレス/ホストネーム登録, 継続/変更, 抹消 
		<LI>専攻サーバー, ネットワークを中心とする諸々の資源のつかいかたあれこれ
	</UL>
</UL>
</BODY>
</HTML>

これを WWW クライアントで表示させると、 タグの情報をもとにフォーマットされた文書として見ることができる。 タグに用いられるアルファベットは大小文字の区別が無視される。


作法としての HTML


参考資料

作法

その他


最終更新日:2000/09/29(河野仁之)