[Internet Week 2003 report]

M09: IP Meeting 2003 report

小高 正嗣
2003 年 12 月 12 日

今年の IP Meeting 2003 (プログラムはこちら)から, 特に興味を引いた話題について報告する.

  1. 2003 年トピックスレポート抜粋
  2. 教育〜学校へのインターネット導入 10 年を振り返って
  3. 医療〜ブロードバンド時代の遠隔医療
  4. パネルディスカスション

1. 2003 年トピックスレポート抜粋

IP アドレス関連

ルーティングトポロジ

JPCERT/CC 活動報告

ドメイン名


2. 教育〜学校へのインターネット導入 10 年を振り返って

広島県吉田町立郷野小学校

DVTS による双方向通信を教育に活用した事例を紹介.

京田辺市教育委員会


3. 医療〜ブロードバンド時代の遠隔医療

医療分野における情報ネットワークの活用

遠隔医療実証実験の事例報告

これからの情報ネットワークによる医療


4. パネルディスカスション

パネルディスカスションは山口 英氏(奈良先端大)の司会のもと, 中村 修氏 (慶応大), 高木 浩光氏(産総研), 佐野 晋(JPNIC/JPRS)より講演が行なわれ, その後会場からの質疑を含めた活発な議論が行なわれた.

ここで特に話題となったのは, RFID という IC タグ技術の利便性と, それによるプライバシー侵害等のリスクとのバランスをどう調整していくか, という問題であった.

実はこの問題は最近ネットワーク上での議論の的になっているらしく, 高木 浩光氏の日経デジタルコアへの記事から派生した議論が RFID 反応リンク集 としてまとめられている

RFID とは?

まず RFID について, IT トレンド用語辞典 の記事をもとに概説する RFID とはデータを読み書きさせるリーダライタ(アンテナ+コントローラ)と, 情報を記憶する ID タグにより構成されたシステムで, 無線によってデータ交信可能な自動認識技術のこと. 代表的な実例は JR 東日本の「スイカ」. カードが ID タグで, 改札の所定のパネルがリーダライタである.

ID タグ (以下 RFID タグと呼ぶ)自体は非常に小さいので, さまざまな物品に取り付けることが可能. 商品の在庫管理, 運転免許書, 住民カード等への応用が想定されてる.

さらに RFID タグと既存のインターネット技術をつなぐことで, あらゆる物がネットワーク上でリンクされることが可能になる.

RFID とプライバシーの問題

RFID とプライバシーの問題の例として, RFID が商品管理タグとして用いられる場合を考える. RFID タグ情報は 到達性のある個人情報ではない (=特定の個人を識別可能なものではない)ので, 個人情報保護法の対象外(?). したがって, 当初は在庫管理目的として導入した RFID タグ情報が安易に記録・蓄積・売買され, 他の情報を組み合わされることによって消費者の意図しない目的に利用される可能性がある.

たとえば

店頭で店員に RFID タグ情報の利用について確認しても, 店員もその情報がどこまで利用されるかわかっていないことが考えられるので, 消費者は私事性情報の漏洩を事前に察知することが困難.

米国では RFID タグに反対する消費者運動 (CASPIAN) も起こっている.


参考文献


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