[Internet Week 2003 report]
M09: IP Meeting 2003 report
小高 正嗣
2003 年 12 月 12 日
今年の IP Meeting 2003 (プログラムはこちら)から,
特に興味を引いた話題について報告する.
- 2003 年トピックスレポート抜粋
- 教育〜学校へのインターネット導入 10 年を振り返って
- 医療〜ブロードバンド時代の遠隔医療
- パネルディスカスション
1. 2003 年トピックスレポート抜粋
IP アドレス関連
- IP アドレスの資源管理情報
(最新情報はこちら).
- Geoff Huston による
IPv4 枯渇時期についての予測 レポートの紹介.
- RIPE NCC より, IPv4 が 2005 年頃に枯渇するというメディア報道に対し,
反論が出される.
ルーティングトポロジ
- IPv4 の経路数は順調に増加
(BGP Table Data)
- IPv6 の経路数も増加している
-
IRR(Internet Routing Registry) = インターネットの経路台帳の登録率はまだ低い.
- 国内のネットワークトポロジは, 東京集中と分散が同時に進む.
- 大手プロバイダ: 関西の IX にも接続
- 中小プロバイダ: 東京の IX へ集中
- 東アジア域(日本, 韓国, 中国, 台湾)の物理配線は日本中心のトポロジ
- トラフィック
JPCERT/CC 活動報告
ドメイン名
- JP DNS サーバは全部で 6 台 ([a-f].dns.jp), うち 3 台は IPv6 のアドレスを持つ
- JP ドメイン登録ホスト数は 50 万件を突破 (2003/01,
http://jpinfo.jp/stats/)
- 日本語 JP ドメイン名の登録を開始 (2003/07/10)
2. 教育〜学校へのインターネット導入 10 年を振り返って
DVTS による双方向通信を教育に活用した事例を紹介.
- 8 年前に学校への接続開始
- 現在は合計 400 台 の PC がネットワークに接続
- ゲートウェイでアクセスログを(手動で)監視,
授業中の生徒によるいかがわしいサイトへのアクセスを防止
- もしも起こった場合には, 該当する学校の教頭先生へ電話連絡
- 生徒間の噂としてひろまることで, 抑止力を保つ
3. 医療〜ブロードバンド時代の遠隔医療
医療分野における情報ネットワークの活用
- 遠隔医療
- 1970 年代: 電話線
- 1990 年代: ブロードバンド
- 患者情報の共有
- ネットワーク型電子カルテ
遠隔医療実証実験の事例報告
- 内視鏡検査
- 武蔵野赤十字病院間にて行う内視鏡検査を東京医科歯科大付属病院の医師が診察
- 詳細は こちら
- 課題は画像の"色"
これからの情報ネットワークによる医療
- 個人向け電子医療機器の情報化: 現在の USB 接続万歩計等が進化
- ネットワークに接続, 個人の健康情報をリアルタイムにサーバへ送信
- 異常があればかかりつけの病院から"逆ナースコール"
4. パネルディスカスション
パネルディスカスションは山口 英氏(奈良先端大)の司会のもと, 中村 修氏
(慶応大), 高木 浩光氏(産総研), 佐野 晋(JPNIC/JPRS)より講演が行なわれ,
その後会場からの質疑を含めた活発な議論が行なわれた.
ここで特に話題となったのは, RFID という IC タグ技術の利便性と,
それによるプライバシー侵害等のリスクとのバランスをどう調整していくか,
という問題であった.
実はこの問題は最近ネットワーク上での議論の的になっているらしく,
高木 浩光氏の日経デジタルコアへの記事から派生した議論が
RFID 反応リンク集 としてまとめられている
RFID とは?
まず RFID について,
IT トレンド用語辞典 の記事をもとに概説する
RFID とはデータを読み書きさせるリーダライタ(アンテナ+コントローラ)と, 情報を記憶する ID タグにより構成されたシステムで,
無線によってデータ交信可能な自動認識技術のこと.
代表的な実例は JR 東日本の「スイカ」.
カードが ID タグで, 改札の所定のパネルがリーダライタである.
ID タグ (以下 RFID タグと呼ぶ)自体は非常に小さいので,
さまざまな物品に取り付けることが可能. 商品の在庫管理,
運転免許書, 住民カード等への応用が想定されてる.
さらに RFID タグと既存のインターネット技術をつなぐことで,
あらゆる物がネットワーク上でリンクされることが可能になる.
RFID とプライバシーの問題
RFID とプライバシーの問題の例として,
RFID が商品管理タグとして用いられる場合を考える.
RFID タグ情報は 到達性のある個人情報ではない
(=特定の個人を識別可能なものではない)ので, 個人情報保護法の対象外(?).
したがって,
当初は在庫管理目的として導入した RFID タグ情報が安易に記録・蓄積・売買され,
他の情報を組み合わされることによって消費者の意図しない目的に利用される可能性がある.
たとえば
- 商品の出荷情報を統計して, マーケティングに用いる
- 磁気カード式のポイントカード等と併用して, 個々の顧客の消費動向を把握する
- 他業界の業者と連携し, これらの私事性情報データベースを共有化
- …
店頭で店員に RFID タグ情報の利用について確認しても,
店員もその情報がどこまで利用されるかわかっていないことが考えられるので,
消費者は私事性情報の漏洩を事前に察知することが困難.
米国では RFID タグに反対する消費者運動
(CASPIAN) も起こっている.
参考文献
- JEPG/IP, JPNIC, IP Meeting 2003, Internet Week 2003 配布資料.
- Geoff Huston, 2003: IPv4 - How long have we got?,
http://www.potaroo.net/ispcolumn/2003-07-v4-address-lifetime/ale.html
- RIPE NCC, 2003: IPv4 Address Space: October 2003,
http://www.ripe.net/rs/ipv4-ncc-20031030.html.
- BGP Table Data,
"http://bgp.potaroo.net/.
- JPNIC:
IRR: Internet Routing Registry,
http://www.nic.ad.jp/ja/irr/.
- NSPIXP:
NSPIXP2 トラフィック統計,
http://nspixp.sfc.wide.ad.jp/Traffic/.
- JPNAP Service:
JPNAP トラフィック統計,
(
http://www.mfeed.co.jp/jpnap/fr-traffic.html.
- JPCERT/CC:
JPCERT インターネット定点観測システム,
http://www.jpcert.or.jp/isdas/.
- JPCERT/CC:
JPCERT インシデント報告件数の推移,
http://www.jpcert.or.jp/stat/reports.html.
- JPINFO.jp:
JP ドメイン名に関する統計,
http://jpinfo.jp/stats/.
- 広島県吉田町立郷野小学校ホームページ,
http://www3.ocn.ne.jp/~gouno/.
- 中国・四国インターネット協議会:
マメ de ガンス 2 プロジェクト,
http://www.csi.ad.jp/activity/2MAMEdeGansu.
- 中国・四国インターネット協議会:
マメ de ガンス プロジェクト,
http://www.csi.ad.jp/activity/MAMEdeGansu/.
- Japan Gigabit Network (JGN), http://www.jgn.tao.go.jp/.
- 京田辺市教育委員会,
http://www.tanabe-be.tanabe.kyoto.jp/.
- 東京医科歯科大学, KDDI, 2002:
内視鏡検査等に関する遠隔医療実証実験について,
http://www.kddi.com/corporate/news_release/kako/2002/0729/.
- Digital Biocolor Society,
http://biocolor.umin.ac.jp/index.html
- ハギワラ シスコム:
STEP KEEPER,
http://www.hscjpn.co.jp/products_s.php?idno=23.
- オムロン:
Walking Style B-I,
http://www.omron.co.jp/press/h0418.html.
- RFID 反応リンク集,
http://www.hyuki.com/yukiwiki/wiki.cgi?RFID反応リンク集.
- IT トレンド用語辞典, RFID カード,
http://www.keyman.or.jp/search/a_30000186_1.html.
- CASPIAN, http://www.nocards.org/.
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