丹羽基二著、「知ってなるほど苗字の謎」、小学館、 150p、1998.

日置さん へぎ、へき、ひき、ひおき、幣岐、戸岐、比企などとも

ヒキ、ヒオキのほかヘキ、ヘギなどとも呼んでいたらしい。古代からつづいている名族。 現在も約八千人ほどいる。しかし、その実態はよくわからない。職名に由来することは間違い なく、古代は朝臣の姓の者もいて、部民を従えて勢力をもっていた。和歌山県日置川町に日置、 富山県立山町に日置ほか全国にたくさん地名があるから、のちはその地名を負っていることも 考えられる。だがやはりもとは職名であろう。
それならどんな職業か
一つは、日は戸で、戸数を調査する徴税の役とする説、二つは、日は火で、神霊を迎えるために 聖火の準備をする役とする説などがある。
わたしはその二説とは別で、じつは太陽の移動によって時間を測定し、あわせて日暦を記録する 天文暦数、つまり日読みをする人たち(日置部)ではないかと思う。そうとすれば、占いも行った と思われる。古代は日と火は区別して発音されていたから聖火をともすとは思えない。
日置はのちに幣岐、戸岐、戸木、部木、比企などとも書かれ、苗字、地名に残っている。後世は 佐々木氏族、柘植氏族、大江氏族などと称するものもでてきた。

(日置幸介コメント) 上記以外の地名として山口県西北部に日置町(へきちょう)があります。古代 における帰化氏族日置氏と大和朝廷の測地事業の関わりについては、水谷慶一著「知られざる古代、 謎の34度38分を行く」日本放送協会、324pp、1980.に詳しく書かれています。また最近 日置族ファン倶楽部 なるものもあるようです。

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日置幸介 (email: heki@ep.sci.hokudai.ac.jp)