■□■ INEX だめ駄目レポート考 ■□■
			2002/02/14	INEX 2001 T.A.  M. YAMADA


0. はじめに

  本ドキュメントは 2001 年度北海道大学理学部地球科学科物理実験I (情報
  実験:INEX) で提出されたレポート対する感想をまとめたものである.  なお
  上記レポートは電子投稿の形式で提出され,
  http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~inex/y2001/rps/index.html 
  より全文を見ることが可能である.


1. だめ駄目レポート考

  INEX 電子投稿システムはあるいみ実験的要素が多い.  投稿内容は何度でも
  修正可能であり, 他の受講者の投稿内容も参考にすることができる. お互い
  を刺激し合うことでレポートの質に対して"正のフィードバック"が掛かるこ
  とを期待したものである.  さて, 実際にはどうであったろうか??

  投稿されたレポートは, 後半からなかなか読めるものが現れた一方で, どう
  にもこまったものも多かった(体裁の面に始まり, 内容が多サイトの単なる
  コピー等).  以下に, 提出されたレポートのなかにあった"だめ駄目"なレポー
  トをチェックしつつ, なぜに"だめ駄目"であるのか分析してみたことがらを
  あげる.

 1.1 そもそも技術文書/物事を解説する文書を書くことに慣れていない.

    自分の書く文書の目的を理解することが重要.  自分だけの覚書, ノート
    の類なのか, 他者が読むものなのか.  なにを伝えるべきなのかまず考え
    ること.  このことに注意がなされていないものは, 中途半端なレポート
    となっている.  技術文書を書く上での第一原則は,

    必要なことは洩れなく記述し, 必要でないことは一つも書かない (文献1.)
      
    である(えらそうに書いていますが, 私もまだまだうまく書けませんが). 
    しかし意識することが初めのステップであることを忘れてはならない.

 1.2 掲示版, チャット感覚が強い.

    Web をつかった投稿という形態のため, 普段触れることの多い掲示版, メー
    リングリスト, チャットのような書き口になってしまう者もいたようだ.
    INEX でのレポートは堅苦しい文章でなくても良いと私は考えるが, レポー
    トとしての体裁を最低限ととのえるべきである. つまり, ある情報がどこ
    かから得られたものなのか, あるいは自分が考えたことあるいは実際に行っ
    たことなのか, これらが区別できるような文章構造にこころがけるべきで
    ある(真偽の付けようのない情報量ゼロの文は, 便所の落書のようなもの).

 1.3 WWW 文書の情報発信力をあまくみている可能性.

    WWW を用いた情報発信手段は多くの場, 人に活用されている. 私達はいま
    までより容易に世界にむけて情報発信をできるようになったが, 同時に自
    分が発信する情報に対する責任も大きくなったといえる. 情報を吸い取る
    ことしかできない"情報のブラックホール"にならず, 自らも発信(創造)す
    る側にたてるよう努力しなくてはならない.

    ちょっと大げさに書いたが, いつ誰が自分の公開したWWW文書を読んでい
    るかわからないのである. たとえば, 良く使用されている検索エンジンを
    でINEX受講者の名前をいれてみると, INEXレポート投稿WEBページが上位
    に表示されるであろう. 地球惑星科学専攻サーバ群が無くなるまで, これ
    ら文章は世界中からアクセス可能である.  友人が検索するかも知れない
    し, 未来の自分の子どもが見るかも知れない. INEX の教官, T.A.しか見
    ないと考えているなら大間違いである.


2. 最後に.

  以上を踏まえて, 思い当たる箇所のある受講者は是非自分のレポートを修正
  されたい. もはや授業の評価とは関係ないが, 将来の自分の為になるであろ
  う.

  なお本ドキュメントは"ダメダメ"なレポートに焦点をあてたが, いうまでも
  なく全てがそうであるわけでない.  単に本ドキュメントの目的が" ダメダ
  メ"な部分を明らかにすることであるため, 特筆するに値する優れたドキュ
  メントに言及していないだけである.  これらは, 他の T.A. あるいは サブ 
  T.A. が言及するであろう.


・謝辞

  半年間拙い授業につき合って下さった皆さんありがとうございました.  拙
  い授業のわりに偉そうなことを書いて申し訳ないですが, 1年後, 2年後に皆
  さんのおやくにたつ内容が1つでもあれば幸いです.  それでは....

     
・参考文献
 [1] 木下是雄, 『理科系の作文技術』, 中公新書 624, 1981.