2003 年度 地球惑星科学専攻 修士論文要旨集
2004 年 2 月 4 日

氏名 岡田 純
論文題目 有珠山2000年噴火の地殻変動−複合球源モデルによる変動場の検討−
論文要旨 2000年有珠山の噴火活動では、山頂部を同心的に隆起させる、噴火前兆期の全山的な 隆起と、西麓部に潜在ドームを形成する局所的な変形が、地殻変動場の大きな特徴で ある。本研究では、有珠山の地殻変動の詳細な議論に入る準備段階として、基礎的な 圧力源モデルによるデータフィッティングを行った。データには、既存のデータ資料 に加え、高速道路の道路測量資料や、レーザー測量による観測結果も利用した。ま た、有珠山山頂部における噴火前後の垂直変位データを補うために、1/5000地形図の 標高読み取り作業を行った。これは簡易的DEM作成であるが、求められた変位量は、既 存のGPSや空中三角測量と整合的であり、モデル推定の上で役立った。 山頂部を全山的に隆起させる地殻変動は、1ソースモデルでは説明できないことが明ら かになり、他のいくつかの研究で指摘されているように、深部に収縮源を仮定しなけ ればならないことがわかった。
 過去3回の有珠山の噴火活動との比較を行った結果、地殻変動データからも、2000年 噴火と明治噴火活動との類似性が指摘された。