千島海溝沿いの北海道太平洋東沿岸では、太平洋プレートが大陸プ レートの下に沈み込んでいるため、それに伴う地震活動が活発な地域である。過去に M8クラスの巨大地震が繰り返し起きていることが知られている。特に根室半島沖は 2003年十勝沖地震発生後、その地震活動が非常に注目されている領域である。本研究 では海底地震計を用いて行われた、根室半島沖での微小地震観測と2004年釧路沖地震 余震観測について述べる。
2004年11月29日午前3時32分、北海道釧路沖、北緯42.944度、東経145.280度、深さ 48 kmを震源とするM 7.1の地震が発生した。詳細な余震分布を求めるため、海底地震 観測を行った。観測は本震震発生7日後の12月6日から同月15日の9日間にわたって行 われた。
観測データから求めた震央分布は、陸上観測網から求められた気象庁一元化震源の分 布と同様に、本震時のすべり量の大きな領域では余震活動はほとんどなく、その周辺 に二列の帯状をなすように分布した。震源の深さは一元化震源よりも浅くなる傾向が みられた。震源分布とNakanishi et al.(2004)のP波速度構造モデルの比較を行った結 果、プレートの沈み込み角度が大きくなった地点から陸側に向かってプレート境界面 に沿うようにほとんどの余震が分布した。逆に沈み込み角度が増加した地点より海溝 側では余震分布はほとんどないが、上盤側プレート内部での地震が何点か観測され た。これらのことからプレートの沈み込み角度と地震活動にはなんらかの関係性があ ると思われる。
根室半島沖は巨大地震が繰り返し発生している領域であるが、現在は静穏化が続い ているため地震活動は極めて低い。そのため陸上観測網からではほとんど地震活動が 検知されていない。本研究では現在の根室半島沖での詳細な地震活動を明らかにする ために、海底地震計を用いた微小地震観測を行った。観測期間は2005年4月1日から5月 29日までの2ヶ月間である。
1973年根室半島沖地震の震源域では地震活動は極めて低かったが、多数の微小地震活 動を観測できた。さらに微小地震は震源域に均一に分布しているのではなく、海溝寄 りに分布していた。また特徴的なクラスター地震が震源域および観測網南部で観測さ れた。
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