持つ者と持たざる者と…


 帰りの電車で隣に座った男が携帯電話で話を始めた。
どうやら彼は雇用者らしく、バイトの人に突然辞めると書かれたメールを貰ったらしい。
で、彼女の同僚と思われる人(どちらも若い女性らしい)に理由を尋ねていた。


それくらいならまぁいいか、と思い我慢して本を読んでいたが
うるさくてちっとも読書に集中できない。


「そうか。 この事はトップシークレットにしておいてくれよ」
「ほら、『何で知ってるの?』ってことになるとアレだから」


トップシークレット、ねぇ…


「そう、話はそれだけなんだ…じゃあ…」


これで話は終るかな? と思ったら下世話な話を始めた。


「カレシ、いるんでしょ?」
「…30男がそんなことしませんて…別のコを誘うよ」


この辺で我慢するのをやめて軽く睨みつけてやったら


「今JRの中にいるからまた今度おいおい電話するよ」


だって。


その後も誰かにメールを送って携帯電話を持ったまま
落ち着き無く返事を待っている御様子。

周りを見渡すと彼以外にも一心不乱にメールを
打っている人が多数。


さほど珍しくない光景だ。
自分だって持っている。 でも言いたい。

たいした用も無いのに電話かけるな。
でかい声で話しするな。
文句言われるまでやめないのは子供だ。


常に誰かと話していないと不安ですか?
周りに迷惑かかっている事気付きませんか?
いらつく自分は心狭いですか?
居心地の悪さを感じる自分は時代遅れですか?


携帯電話に持たれて幸せですか?

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02/11/27 作成