明治四十年札幌農学校より 東北帝国大学農科大学となりし時 開校祝賀の歌 1. 神統二千五百年 東海の果に眠りたる 大和島根の民衆は 見よや目覚めて明治の世 天の使命を果すべく 進取の旗を振り立てぬ 2. 天に二つの日なければ 地上を西し東せる 文化の潮渦巻きて 日出づる国に相会し 炳焉として虹の如 乾坤茲に光あり 3. 此の国運に魁し 先づ北辺の島の上 荒蕪を拓き民を植ゑ 不明を教へ道を樹て 進取の民の範たりし 百万の民若かりき 4. 此の民衆を導きて 重き使命に負かじと 我が札幌に建てられし 祖校よく其の任に耐へ 北辰高く輝きし 其の名声や將た説かじ 5. 今や羽翼を整へて 德乾坤を被ふ可き 国の使命を提げて 千余の学徒麾き 坤輿の民の師たる可き 新職分は下りたり 6. 思へ嘗ては北辰と 光を競ひ白雪と 意氣爭ひし校風を 享けし我らの前程は 高く大きく清らなる 希望の色に溢れずや 7. 功利若し世の風たらば 其所に我等の戦あり 遊情若し世の俗たらば 其所に我等の戦あり 邪曲若し世の弊たらば 其所に我等の戦あり 8. 楡の梢風鳴りて 平和の歌をなすが如 藻岩の雲の峯そひて 莊厳の色動く如 我等の歌に歓喜と 自信の響こもれかし