明治四十四年寮歌 藻岩の緑 松山茂助君 作歌 柳沢秀雄君 作曲 (1,2,3,4 了あり) 1. 藻岩の緑春闌けて 万朶一朶の朝霞 憧憬彩と流れては 花皆奇しき香ならずや 若き血潮の踊る時 希望の前途光あり 2. 青葉波よるアカシヤの 薫る木影に立ちよれば 長風夏の雲ゆらぎ 秋は牧場の夕まぐれ 鐘声止みて今暫し 牛の背に散る蔦紅葉 3. あはれ「美の国」石狩の 自然を己が揺籃に おほし立つ可き人皆の 意気紅霓に似たるかな 一撃万里す大鵬の 翼整装ふ思あり 4. 斗南の翼拡げては 天地広しと誰か云ふ 雲より高きアンデスの 裾野に友よ羊逐へ 天に漲るアマゾンの 岸辺の森に斧を振れ 5. 弦月落ちて白楊の 樹林の暗の深き時 八荒裂けて万籟の 声すさまじく吹雪く時 世の濁流を叱咜して 巨人の叫び茲にあり 6. 浮華軽佻の風あれて 驕奢の波は狂ふとも 北斗の光清ければ 世は永久に我世なり 聞けや人々北州に 正気溢るる意気の歌