昭和八年寮歌 タンネの氷柱 卜部清君 作歌 白石祐義君 作曲 (1,2,3,4,5 了あり) 1. タンネの氷柱消ゆる頃 胡蝶は眠る花の宿 牧場に結ぶ夢遙か 青き希望の雪峯こえて 四海に羽振る若鵬の 石狩を立つ意気をみん 2. 朝里の丘に烏頭咲けば 蝦夷が芙蓉の雪とけて 千尋の懸崖ゆくだけ入る 忍路の沖の真白帆に 万里の波濤翔らんと 白鷗はしばし憩ふなり 3. 真紅の夕陽山の端に もゆる紅葉をかざしたる 友がゆくての野を遠く 幌馬車の影消え去りぬ 蓬髪胡風に靡けつつ 懐情は尽きず果てもなく 4. 十勝の峰に捲き起こる 吹雪怒りて咆ゆる夜も 旭光東に色めけば 熊追ふ愛奴の雄叫びに 大雪原の霊光や 無絃琴の音ぞ高し 5. 懸る垂氷に月くだけ 千々の瞑想は来し方の 六十の秋はしるくして 緑に浮ぶ白亜城 苔むす楡鐘の哀調きけ 若き力を求むなり