昭和二十年寮歌 生命の旅路—輝かしき首途のときに— 幸坂彪君 作歌 新井忠雄 作曲 (1,3 了あり) 1. 流転永世の旅衣 四大の神秘尋はんにも 若き生命の寂寥に 遠き真理の暁星一つ 起伏知らに慕ひゆく 孤影簫々の荒野に消えぬ 2. 清き友情を先人の 忍苦染み映ゆ楡が枝に 懸けて団欒す一刻の 玻璃が盃の面茜雲漂蕩ぎ 胸琴触れ合唱ふうつそみの 塵世の濁流ひた超えて 3. 寮窓辺に泣くや人性の 運命の羈絆固ければ 愛と誠に身をせめつ 高謳ふ哉美し青春の 剛毅の蔭の浄涙をば 白珠碗に掬ばなむ 4. 秋闌く原始林のうら寂びて 愛智の微光凄風に散り 孤独の揺籃に熟睡する 寮友が睫に恵迪の 伝統の法燈さゆらぎて 栄光に帆立つ吾寮いま 5. 生命の旅路厳粛の 啓示に喘ぐ友垣と 若き恩恵の聖火に狂ひ 淋しき魂を睦ぶとき 挽歌消え行き洋々の 自由の渚濤声とよむ