昭和三十年寮歌 悲歌に血吐きし 柳田和朗君 作歌 菅原幸雄君 作曲 (序,結 了あり) 序. 悲歌に血吐きし我らもが 永劫不変を探求めんと 遙々漂泊来たりても 赤き浜茄子摘みとりて 悪魔牛耳り詩吟する 天下不仰の寂寥児 春. 未知の世界に立ち薫る 冬の名残りか歓喜か 春爛漫のただなかに 手稲の山の淡雪の 雪解が衣の袖軽ろき 門出が詩歌を讃歌わんや 夏. 原始の森に深く入り 朱碧混じる眩さに 神秘無象の影さして 郭公生命の顫律で 若き誇りに酔い痴れて 自由の頌歌歌うなり 秋. 朝の白露は詩を吟じ 夕陽紅く舞い乱る 秋風高歌昂然と 踏轟ろかすストームの 孤袖の遊子大望の 希望に宿る北極星 冬. 雪崩に雪を血で染めて 若き生命を捨つるとも あこがれ清浄き樹氷恋い 奥山古き谷間小屋 空想の羽の頂上に 炉火囲み唱う歌 結. 年古る樹々は皆朽ちて 生の心が落葉の 記憶の底に沈みいで 悲哀の涙ほとばしる 世の暗闇にひそめども 去る二年を謳歌えんや