昭和三十六年度寮歌 甦えれ白き辛夷よ 小川徳人君 作歌 脇地炯君 作曲 (1 繰り返しなし) 1. 甦えれ白き辛夷よ 吐息なす憂悶の日も 寂莫のまどろみも去り オホーツクの水やわらぎて 流氷の群軋める国に 彷徨のい着きしを知る 朽葉ぬき頭もたげし若き息吹は わが若き日の昏迷を掻く 2. 濃霧を呑み大気は青む 輝ける太陽に酔い痴れて 高澄の日高の峰を わだつみの青をば追わん ああ慵げき虚を破りて 筋骨は火照に燃えぬ エゾマツの深き樹林を渡る雄叫び わが若き日の胸に響かん 3. 眼路渺茫の野末遙けき 石礫の曠野に励む 先達の真情を凝らし 地の熟睡静かに温む 真紅をはきて入日たゆたい 颯々とポプラは鳴れる 友どちの組たる肩は若く息づく わがあすの日の耕土を期して 4. 白皚々と六華は咲けど うす月は雲をどよませ 逆巻の吹雪は狂う 邂逅に結ぶ灯火 濃き鈍色ににじみそめつも 手をとりて声を落さじ 明晰な眼を持ちて凝視る道に わが霹靂の痕を印さん