昭和四十五年寮歌 秋逍遙 熊野芳明君 作歌 吉田守男君 作曲 (未明,払暁,初更,深更 繰り返しなし) 未明. 秋に秋添う時雨月 曙星瞬く恋々と されど近づく蕭晨に 幽愁はつのるせつなくも 落涙しばし悄然と 払暁. 蕭晨は来にけり石狩野 野菊に滴る血の雫 木の葉さやぎぬ涼風に 野を流離えば深き哀愁 情けの露を探求むなり 昼. 遙かに煙る大平原 蕭然秋の小糠雨 原生林の錦も色寂し 黒俊馬の長嘶に沈思破れ 秋の情趣を知る二十 落日. 時雨もやみてあかねさす 赤紫雲の黄昏に 夕陽返し珠玉の如 蜻蛉が翅翎に我が久懐 真情の友へと託すかな 初更. 釣瓶落しの秋の日の 紫紺の闇に淡く浮く 利鎌の秋月はあな悲し きらめく長庚にただ涙 己が運命か斯くあるが 深更. 夢幻か人の世は 秋の百子夜に我悄然 地平の彼方へ冴星空を 過りて落つる流れ星 ただただ涙は何故か