大正八年度寮歌 暗雲低く 熊谷巌君 作歌 置塩奇君曲 (1,6 了あり) 1. 暗雲低く乱れてし 怨嗟の声の収まるや 逆巻く波も和み来て 星影淡き東雲に 平和の光朗々と 碧緑の海に輝きぬ 2. さあれ意へば泰平が やがて醸さん痴惰の夢 人は安佚を偸むとも 我には固き自覚あり 人は驕奢に酔ひしるも 我には尚武の気魄あり 3. 夢深かりし曙の 霞にまがふ蝦夷が野に 礎固く営みて 巍峨とそそれる自由の城 浮世の塵を低く睥て 健児の意気を養はん 4. 孤城に春の訪れて 楡樹の匂まだしくも 北斗の光燦として 崇き黙示を与ふらん 雪の色にもたぐふべき 潔き節操を思はずや 5. 永遠に変らぬ希望もて 理想の華を咲かせんと 険しき世路に逆ひつつ 歩み運びし先進が 光栄の歴史を偲ぶれば 思出多き十四年 6. いざや勝利の盃を 平和の女神に捧げつつ 右手に正義の剣を執り 左手に自由の楯を持し 若き血潮の鳴るがまま 祝ひ謳はん記念祭