大正十四年開舎二十周年記念寮歌 大地はなごやかに 黒沢徹君 作歌 三溝清美君 作曲 (1,2,3 了あり) 1. 大地はなごやかにうるほひて 丘陵の傾斜の若草や さゆらぐ楡の嫩葉にも 春新生の精気は溢る 原始林の緑に流れ来る 嗚呼青春の讃歌 2. 色紫の彩絹に 染めて溶けたる朝霧の 悠久の蒼穹はるかにも 濃き水色にうつろへば 白鳥高く海に飛び 入江の波に夏陽は映ゆる 3. 連嶺紅に黄昏れて 夕靄流る水沼の 白き葦穂波に顫ふ月 幽暗の草野に訪づれば 仄かに響く胸うちの 高遠き感激に逍遙ふ哉 4. 神秘の森林に群星さえて 雪の曠野遠く静謐なり 銀壺にゆるる灯に 崇き教訓を胸にして 心の憧憬郷にまどゐする 若き人等の哀歓よ 5. 陽炎ゆらぐ春の日に 落葉しぐる秋の夜に 胸に高鳴る青春の 若き誇りを歌ひつつ 限れる生の瞬時を 深き瞑想に過さずや