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   プログレッシブダウンロードによる動画配信

最も手軽に動画配信するには, ダウンロードを利用する方法がある. 配信者はメディアファイルを Web サーバに置くだけでよい. 視聴者はそれをダウンロードして視聴する. メディアファイルのサイズが大きい (例: 1 時間の講演で約 100 MB) 場合, 視聴者は再生されるまで長い時間待たなければならない.

そこで,ダウンロード中でも再生可能にした プログレッシブダウンロード (progressive download, 先行ダウンロード) という方式が開発された. 視聴者はプログレッシブダウンロード対応のプレイヤを使わなければならないが, 再生までの待ち時間はダウンロードに比べ大幅に減少する. 主なプレイヤとして,QuickTime (Apple Computer), RealPlayer (Realnetworks) や Windows Media Player (Microsoft) がある (御手洗毅, 2001). この方式は,ストリーミング (次で解説) の一種と思われがちであるが, ダウンロードの一種でストリーミングとは異なる (Apple Computer, 2001) .

特徴

プログレッシブダウンロードの特徴として,以下の 2 つがあげられる.

HTTP (Hyper Text Transport Protocol) とは, Web サーバと Web クライアント (Web ブラウザやプレイヤなど) との通信に 使われるプロトコル (言語の取り決め) である (株式会社インセプト, 1997-2001) . HTTP は,TCP (Transmission Control Protocol) 上で動く (株式会社インセプト, 1997-2001) . TCP は消失パケットの再送を行うなどのデータ管理機能を持ち, その分だけパケットのオーバーヘッドのサイズが大きくなる. したがって,TCP は信頼性は高いがデータ転送速度はそれほど大きくないという 特徴を持つ (株式会社インセプト, 1997-2001) .

Progressive Download 動画配信の流れ

プログレッシブダウンロードの場合,動画が配信されるまでの流れは次のようになる (Micorosoft, 2000).

  1. Web ブラウザにあるメディアファイルへのリンクをクリックする
  2. Web サーバにメディアファイル視聴の要求を出す (右図 (1))
  3. Web ブラウザがプレイヤを起動させる (右図 (2))
  4. プログレッシブダウンロード開始 (右図 (3))
    (ここまでは通常のダウンロードと同様)
  5. 動画の先頭部分をバッファリング
  6. バッファがある程度たまったら再生する
  7. 視聴者側の PC にメディアファイルが保存される

利点

プログレッシブダウンロードの利点は手軽に動画配信ができる点である. Web サーバを使うため,特別なサーバを用意する必要がない (Micorosoft, 2000). 配信者はメディアファイルを用意するだけである.

欠点

プログレッシブダウンロードを使えば メディアファイルは中断すること無く再生されるといわれている (Apple Computer, 2001) が, 実際は,大きなファイルの場合再生されるまでにかなりの時間を要することが多い. また,ハードディスクに余裕がないと完全には再生されないこともある. したがって, 3 分以上のビデオは適さない (Reno Marioni, 2001). 一方,Web サーバにも負担はかかる. クライアントからの要求に対応するには ハードウェアの性能を上げなければならないこともある (Micorosoft, 2000).

     Last Update : 2001/10/31 (koko@ep.sci.hokudai.ac.jp)