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■ 生徒の声
今回この授業の成果を検証するために,授業直後に生徒にアンケートを行いました.
生徒は今回の授業をどう評価し,何を感じとったのでしょう.以下に
アンケートの結果と,生徒のコメントをまとめました.
- 今回の授業の雰囲気, 全体的な印象
生徒のコメントには," 新鮮だった " というコメントが多く見られました.
普段とは違う先生,教科書に載っていない内容という,いつもと違う雰囲気が
生徒の学習意欲を高めたようです.
[ 生徒の声 ]
- いつもとは違う授業で楽しかった.
- いつもと違う先生だったのでよく聞けた.新鮮だった.
- いい緊張感だった. いつもより勉強する気になった.
- いつもの授業よりマジメにやらんとって感じでマジメにとりくめた.
- 知らない先生に会い, 教えてもらうのがよい.
- 授業の内容について
以下のグラフから分かるように,両講義とも約80%近くの生徒が " 面白かった ",
" わかりやすかった " と評価しています.
[ 生徒の声 ]
- 想像以上におもしろかったし, わかりやすかったです.
- 全体的にわかりやすい授業だったと思います.
- 難しくて説明が良く分からないときがあった.
- むずかしげな内容でも聞く気がしたし, 楽しく聞けた!!
- ひとつひとつ分かりやすく説明してもらって, すごくためになりました.
- 少しむずかしくてわからないこともあったけど絵にかいてもらったりビ
デオを見たりするとすごくわかりやすかった.
- 生徒との会話を活発に行えたか?
今回,できる限りの事前準備を行ってのぞみましたが,初対面の生徒と活発に議論を
交わすことはなかなか難しいことであると実感しました.しかし,アンケートのコメ
ントを見ると,こちら側の呼びかけに対して,”答えたい”という意思を生徒が持って
くれたことがわかります.
そういった意味では,活発議論に至らないまでも,双方向性を心がけることによって,
生徒と講師の間に友好な関係が築くことができたといえるでしょう.
[ 生徒の声 ]
- その時その時のわからないことに対応してくれる.
- もっと質問したいけど質問できる空気になってほしい.
- 質問に答えたいのになんて答えて良いのかわからなかった.
- この授業を通して生徒の科学的好奇心が喚起されたのでしょうか?
グラフを見ると,多くの生徒が授業後に月や惑星に親近感を持っていることがわかります.
また,アンケートの記述欄には,非常に興味深いコメントが多数寄せられました.
- 今回の授業で新しく知ったこと.
生徒にとっては知らないことだらけだったと思います.90 分という授業内容を
全て理解してまとめるということは大変ことですが,生徒は授業の部分部分で印象に
残っていることを,自分なりにまとめてくれました.
- ほとんど知らないことだったので,勉強になった.
- 月が遠ざかっていること.
- 月には水が無いということがわかった.
- 双子集積説は確率が少いということがわかった.
- 月形成についていろんな説がある.
- 月の裏側を初めて見た.
- 気象衛星の寿命が5年ほどだってことと,現在5代目ということ.
しかも,7年目ということが驚きでした.
- 風の流れの向きは西から東だけだと思っていたから,赤道では逆だったの
には驚いた.
- 火星は住めるんじゃー住めんじゃーゆうて,よくわからなかったけど,なん
で住めないのか,どうしてダメなのかってのが説明してもらえてへえーって思った.
- 大気がある惑星は8つある.気象衛星が5つほど地球の回りを飛びかっている.
使いおわったあともとびかっている.
- 火星にも季節があること.
- 火星は「火」と書くのに熱い星ではなかったということ.
- 金星は表面から地表面までの10 km が硫酸の雲で覆われていることがわかった.
- 生徒がさらに知りたくなったこと
- 遠い惑星の事を調べている, 現代の科学は凄いと思った.
- いろんな惑星の内側を覗いてみたい.
- 宇宙はどこまで宇宙なんですか?
- 将来的に他の惑星に住めるどうか知りたい.
- 私この分野苦手なの.けど地球に住んでいるからもっと
地球のこと知りたいかなって.
- 火星でも育つ植物はあるのか.
- 火星・金星の年齢.
- 水はどうやってできたのか知りたい.
- 全体を通して
全体をとおして,両講義ともに80%近くの生徒が期待以上の授業であったと評価して
います.
■ むすび
手探りで始まった今回のプロジェクトですが,振り返ってみると,
この授業の目標である『生徒の知的好奇心を喚起する,双方向性』授業を達成す
ることができたのではないかと思います.
この授業を通して我々は,教える側が生徒の目線に立ってよりよい授業を作ろう
と努力すれば,生徒はその努力をしっかり受け止め,それに答えようとしてくれ
ることを実感しました.
また様々な施行錯誤の中で,我々は高大連携授業を実現するにあたって,多くのノウハ
ウを蓄積することができました.
その中で,限られた時間の中でスムーズに中身の濃い講義をするために重要であると
感じたのは,生徒の情報を集めることです.収集にあたっては,生徒の一般的な学力レベルだ
けでなく,生徒が今までにどのような内容の学習をしてきたのか,どのような教材を用いて
いるかなどの情報を集めることも重要です.
なぜならそのような情報をもとに,授業を過去の学習内容にリンクさせたり,生徒が実
際に利用している教材を授業に盛り込むことによって,解説を効率よく行うことができ,生徒
の授業理解度も上がるからです.
今回,情報収集も含め入念な準備をすることによって,大きな成果をあげることができたと思
います.そして,このような多くの準備を行うことができたひとつの要因として,このプロ
ジェクトが学生スタッフ中心で動いていたことが上げられます.高大連携授業のひとつの実
践例として,今回の取り組みが今後の活動の参考になればよいと思います.
最後に,授業を実際に受講し,アンケート等を通して我々にエールを送り,貴重な意見
を下さった鴨方高校『宇宙の科学』履修者の皆様に感謝申し上げます.
最終更新 2002 年 12 月 15 日
千葉 ゆきこ(yukiko@taiki.ep.sci.hokudai.ac.jp)
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