2014 年度の発表要旨

各発表の要旨置き場。

前期


周惑星ガス円盤中で形成する巨大氷衛星の原始大気

2014/05/15(木) 13:30--15:30 三上 峻

巨大氷衛星はそれぞれに大気の有無や内部の分化度に関する特徴を持つ.多様な巨大氷衛星は巨大ガス惑星周りのガス円盤中で形成したと考えられており,そのような環境で形成する巨大氷衛星の熱史は未だ不明である.本研究では,熱史の解明のために,巨大氷衛星の原始大気の構造とその保温効果を数値的に見積もった.その結果,巨大氷衛星は強い保温効果を持つ大気を保持する可能性があり,それは熱史に多大な影響を与える.


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2014/05/29(木) 13:30--15:30 笹森 映里

水星はEコンドライト的であること、コア上端に固体FeS層が存在する事が 観測から考えられているが、問題点もいくつかあり、こう言い切ることはできない。水星の組成や構造が上記のように説明できるのかを、 初期水星のコア-マントル間の硫黄の分配を考えることによって調べる。本発表ではコア-マントル間の硫黄 の分配をどう考えるのかについて説明する。


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2014/06/12(木) 13:30--15:30 高橋 康人

木星や土星の雲は空間的・時間的に複雑に変化するパターンを持つことが知られているが、雲の成分やパターンの成因についてはまだ木星や土星の雲は空間的・時間的に複雑に変化するパターンを持つことが知られているが、雲の成分やパターンの成因についてはまだ多くの不定性がある。本研究では、鉛直一次元放射対流平衡モデルを用いて雲頂下における温度構造や成分分布、熱フラックスプロファイル等を算出し、雲形成高度や雲対流の間欠性の考察をおこなっており、そこから得られる巨大ガス惑星の雲構造形成過程の描像を紹介する。


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2014/07/10(木) 13:30--15:30 渡辺 健介

系外惑星には,恒星の潮汐力によって公転と自転の周期が一致した同期回転惑星が存在している.同期回転惑星の水素の流出は観測によって確認されており,同期回転を考慮した流体力学的散逸モデルの研究(Guo(2013)など) も行われている.しかし,そのモデル計算では数値拡散が大きいため,計算結果に信頼性が無い.そのため,質量保存を考慮したKuramoto et al. (2013)のモデルの拡張を行い,同期回転惑星に適用する.本発表では,多次元に拡張した数値モデルの紹介を行い,そこから得られる結果について議論を行う予定である.


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2014/07/17(木) 13:30--15:30 齊藤 大晶

隕石年代学から,太陽系の初期に火星の核とマントルが分化したことが示されている.これは火星の集積成長が原始太陽系星雲中でほぼ完了した隕石年代学から,太陽系の初期に火星の核とマントルが分化したことが示されている.これは火星の集積成長が原始太陽系星雲中でほぼ完了したことを示唆する. 原始火星は星雲ガス成分と微惑星由来の脱ガス成分からなる混成型原始大気を保持した可能性が高い.本研究では1次元放射対流平衡モデルを構築し原始大気の熱構造を調べた.現実的な材料物質中の水分量や集積時間を与えた結果,保温効果により火星にマグマオーシャンが形成され,集積中に核とマントルの分化が生じる可能性があることが示唆された.


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2014/07/24(木) 13:30--15:30 多田 直洋

惑星大気からの水素散逸は、地球型惑星の海洋の持続性に大きく関わる.現在の地球大気では,水素の拡散流束は水素含有成分である水蒸気の成層圏における混合比に比例すると考えられている. 水蒸気は光分解により水素に変化し, 拡散により大気上層へ輸送され散逸する. 本発表では, Hunten and Strobel (1973) に沿って,水蒸気の分解と水素の鉛直輸送の物理化学過程について標準的な理解を紹介する.


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2014/08/21(木) 13:30--15:30 中埜 夕希

始原的太陽系物質コンドライトの化学的多様性は蒸発と再凝縮(蒸発ガスが蒸発残渣に戻る)プロセスの影響を受けたと考えられてきた。まず実験で蒸発と再凝縮プロセスで可能な化学組成範囲を明らかにした。実験との比較より、コンドライトの主要構成要素ChondruleとMatrixはマルチ蒸発(沸騰)と再凝縮プロセスで生成されると示唆された。原始太陽系円盤で考えられる物理化学プロセスと実験事実を元に、全岩コンドライトの化学分別について仮説を構築、それについて議論する。


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2014/09/18(木) 13:30--14:30 寺尾 恭範

山が到達し得る最大の高さや,星が安定に存在するためにその内部で満たされているべき条件は,量子力学で現れる電子のシュレディンガー圧力によって説明することができる.本発表では Weisskopf (1975) に沿って,量子力学の基本事項と,山や星のスケールを特徴づける仕組みを紹介する.


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2014/09/18(木) 14:30--15:30 成田 一輝

私は系外惑星のハビタビリティに興味を持っている.それを研究するためのアプローチの1つに,全球気候モデル(GCM) を用いる方法がある.本発表では,Forget and Lebonnois (2013) のレビューを行い,GCM 仕組みについて紹介する.またGCM を扱う練習問題として行ったdcpam5による傾圧不安定計算の経過を報告する.


後期


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2014/11/26(水) 13:00--15:00 多田 直洋

現在の地球大気からの水蒸気の損失は高層大気の水素拡散により律速されている.その流束は成層圏下部での水蒸気混合比に比例すると考えられている.しかし, 現在の地球と日射量や大気組成などが異なる場合にこの比例関係がどこまで成り立つかは不明である.今回は水素拡散と水蒸気の混合比の比例関係を導いたHunten and Stobel (1973) についてレビューを行い, そのモデルの設定や定式化について吟味する.そして, 今後のモデルの見直しや改良について議論したい.


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2015/12/17(水) 13:00--15:00 渡辺 健介

系外惑星には,恒星の潮汐力によって公転と自転の周期が一致した同期回転惑星が存在している.同期回転惑星の水素の流出は観測によって確認されており,同期回転を考慮した流体力学的散逸モデルの研究(Guo(2013)など) も行われている.しかし,そのモデル計算では数値拡散が大きいため,計算結果に信頼性が無い.そのため,質量保存を考慮したKuramoto et al. (2013)のモデルの拡張を行い,同期回転惑星に適用する.本発表では,多次元に拡張した数値モデルの紹介を行い,そこから得られる結果について議論を行う予定である.


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2015/01/14(木) 13:00--14:00 成田 一輝

系外惑星のハビタビリティを考察する上で,同期回転する地球型惑星の気候を理解することが重要である.本研究では,その中で地球との類似度が高いとされる系外惑星GJ667Ccを対象にdcpam5によるモデリングを行い,地球との比較を加えて気候の大局的理解を目指す.


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2015/01/14(水) 14:00--15:00 寺尾 恭範

量子論によれば,束縛された粒子は外界に向けて圧力(シュレディンガー圧力)を及ぼす.本発表ではWeisskopf (1975)に沿って,シュレディンガー圧力と重力や放射の関係によって恒星の質量の上限と下限が見積もられることを紹介する.


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2015/01/21(水) 13:00--15:00 笹森 映里

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2015/02/26(木) 13:00--15:00 高橋 康人

木星をはじめとする巨大ガス惑星は水素を主体とする大気を保持しており、物性のみならず熱収支の面でも岩石惑星とは大きく異なる。過去の木星大気研究では、温度逆転層形成メカニズムに主眼がおかれ、成層圏での太陽光吸収と放射冷却が論じられてきたが、一方で対流圏での熱収支はほとんど取り上げられていない。しかし、対流圏からの熱放射は対流の強さと密接に関連しており、雲形成や東西流への運動量輸送の観点からも重要である。 本発表では、放射対流平衡モデルを用いた解析から、木星対流圏における放射冷却率と、それを決定するメカニズムについて議論する。


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2015/02/27(金) 13:00--15:00 三上 峻

巨大氷衛星はそれぞれに大気の有無や内部の分化度に関する特徴を持つ.多様な巨大氷衛星は巨大ガス惑星周りのガス円盤中で形成したと考えられており,そのような環境で形成する巨大氷衛星の熱史には不明な点が多い.本研究では熱史の解明のために,巨大氷衛星の原始大気の構造を数値的に求めた.本発表ではまず原始大気の特性について説明し,その熱史への影響について議論する予定である.



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作成: 2014/05/15 渡辺 健介
更新: 2015/02/10 渡辺 健介