$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$ 森羅万象セミナー 第 56 回 http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~sinra/ $$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$ 日時 2001 年 8 月 27 日 (月) 16:30 - 18:00 場所 理学部 5号館 201号室 中川貴司 (東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻) 『下部マントルにおける"失われた熱源"』 [講演要旨] マントル中の熱収支は地球化学によるMORB(中央海嶺玄武岩)物質の分析と表面熱流 量の観測とでは大きな隔たりがある。これはMORB物質から"失われた熱源"の寄与が 重要であると考えられている。この"失われた熱源"は下部マントルに存在している 温度による強い不均質を隠す組成不均質の原因となっている高密度物質に濃集して いることが示唆されている。この高密度物質の分布については風船状構造とドーム 状構造の2つの構造が共存していることが "失われた熱源" がない場合におけるマ ントル対流の数値モデルから示唆されている。そこで、本研究では下部マントルに 存在していると考えられている高密度物質に "失われた熱源" 濃集している場合に ついて組成異常の分布状態とその温度・組成分布が作る地震波速度構造についてマ ントル対流数値モデルを用いて調べた。 その結果、高密度物質の分布はドーム状構造より、風船状構造が卓越することが分 かった。これは高密度物質が加熱源を持っていることから周囲より高温になり、粘 性率が温度依存性をよって下がってしまい、周囲の運動の時間スケールより短い時 間スケールで運動できることことによってドーム状構造が破壊された結果であると 考えられる。また、地震波速度構造については不均質マップや動径相関関数から組 成不均質の強さが温度不均質の0.65から0.9倍程度の強さであるとき、 下部マント ル中程の強い温度不均質構造が組成不均質構造によって隠される。 # 諸事情により、変更や追加のある場合があります。 # 話題希望要望サポーター、大募集中です セミナー幹事:横畠徳太