$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$ 森羅万象セミナー 第 59 回 http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~sinra/ 小高正嗣 (東京大学 数理科学研究科) 『2次元非弾性系を用いた火星大気放射対流の数値計算』 日時 2001 年 11 月 6 日 (火) 16:00 - 17:30 場所 理学部 5号館 201号室 $$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$ [講演要旨] 放射加熱によって駆動される火星大気対流の様子を調べるため, 2 次元非弾性 系モデルを用いた対流の直接数値計算を行った. 数値モデルは火星大気下層 の対流運動を陽に表現する空間分解能を持ち, これまでよく知られていなかっ た火星大気の対流運動の特徴を明らかにすることができる. 計算は大気中に ダストのない場合と, 対流にともなう風によって地表からダストが巻き上げら れると仮定した場合の 2 例を行った. 数値計算の結果, 火星大気の対流はその循環セルの最大スケールがそれぞれ鉛 直に 10 km, 水平に 5〜6 km となるキローメータサイズの対流であることが 明らかとなった. ダストのない場合の対流にともなう風の大きさは非常に強 く, 鉛直風, 水平風ともに 20 m/sec を超える. モデルの水平風速から計算 される日中の地表摩擦の大きさは, 実験によって得られている地表からのダス ト巻き上げに必要な臨界値 (〜 0.04 Pa) に達する. この結果は, 火星大気 大循環モデル (GCM) においてもキロメータサイズの対流の地表面摩擦への寄 与を考慮すれば, 従来 GCM において計算不可能だったダストの自然な巻き上 げとダストストームの発生が計算可能となることを意味する. 対流にともなう風によってダストが巻き上げられる場合, ダストは 2 〜 3 時 間で速やかに対流層内に広がり混合される. ダストが成層圏まで達すると対 流の背は低くなり, 対流にともなう風は弱くなる. これはダストの太陽放射 吸収にともなう加熱によって成層圏温度が上昇するためである. ダストの分 布にともなう放射加熱の水平非一様性が対流の循環パターンに与える影響は無 視できる程度である. # 諸事情により、変更や追加のある場合があります。 # 話題希望要望サポーター、大募集中です セミナー幹事:横畠徳太