$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$ 森羅万象セミナー 第 70 回 http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~sinra/ 池田隆司 (北海道大学地球惑星科学専攻) 『陸上科学掘削で何が見えるか?』 日時: 6 月 20 日 (木) 16:30 -- 17:30 場所: 5 号館 201 号室 $$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$ [講演要旨]  足の下の出来事つまり地球内部のプロセスに関して,過去にどんなことがあっ て現在はどう進行中なのかを正しく理解し,将来はどうなっていくのか予測し たいと願う.深層掘削(ドリリング)および孔内計測は,それを直接観測でき る有力な手段であり,それと地表探査の組み合わせは地殻を観察する「望遠鏡」 となる.これを武器として,我々の生活に密着した以下のような地球科学の諸 問題に立ち向かうことができる.  ・地質災害の被害軽減(地震,火山,地すべり等)  ・地球環境問題(気候変動,CO2,廃棄物)  ・隕石衝突の影響と生物の大量絶滅  ・地下生命圏の実態と,石油生成や生命の進化に与える影響  ・地球資源(石油,鉱物,地下水,ガスハイドレートなど)の探査と供給  ICDP(国際陸上科学掘削計画)は,国際的協力の枠組みでこれらの解明に取 り組むことを目的として1996年に発足した.ドイツ,アメリカ,日本,中国, などが中心となって活動している.ここでは,ICDPのプロジェクトであるハワ イ島の火山体掘削,雲仙火道掘削,ユカタン半島チチュルブ隕石孔,サンアン ドレアス断層,KTB(ドイツ大陸深層掘削計画)での実験等々を概観する.ま た,日本では既に活断層や震源域での掘削が行われてきた.特に,1995年兵庫 県南部地震に伴う淡路島・野島断層では,断層を貫くような掘削(最深1,800m) を行い,断層近傍の応力や熱流量などを定量的に把握するとともに,岩石コア による断層破砕帯の構成物質などについて分析した.これらについて紹介し, 陸上科学掘削の現状と今後の方向性を探りたい. -*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*- 北海道大学大学院 理学研究科 地球惑星科学専攻 惑星物理学研究室 博士課程 1 年 高山 歌織 (TAKAYAMA Kaoru) E-mail: kaorun@ep.sci.hokudai.ac.jp Tel: (011)706-4494 (内線 4494)