$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$ 森羅万象セミナー 第 80 回 http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~sinra/ 坂本 天 ( 北海道大学 大学院 理学研究科 地球惑星科学専攻 ) 『海嶺に入射する順圧ロスビー波がもたらす傾圧応答に関する 理論的及び数値的研究』 日時: 11/25(月) 16:30 - 17:30 場所: 理 5 号館 201 号室 $$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$ [要旨] 近年,人工衛星の海表面高度計による観測データから,海嶺や海膨などの 海底地形周辺海域において海表面変位の偏差が増幅され,西方へ傾圧長波 ロスビー波によって伝播することが報告されている.この中で,異なる 海底地形に対して偏差の大きさや増幅・西方伝播が生じる周期が異なる ことから,海底地形の形状の差異が,励起される傾圧長波ロスビー波の 振幅に影響を及ぼしていることが示唆されてきた.海底地形を起源とする ロスビー波励起のメカニズムは,風応力場によるものと,順圧及び傾圧 ロスビー波の海底地形への入射によるものが考えられており,このうち 順圧ロスビー波の入射に関して,海底地形の形状の差異が,励起される 傾圧ロスビー波に対して及ぼす影響について,現実的な海底地形を用いた 研究は過去に行われていない. 本研究では,南北に一様な海嶺状の海底地形に順圧ロスビー波が入射して 励起される傾圧ロスビー波に対して,海嶺の高さと東西幅の差異が及ぼす 影響について,線型・非粘性の2層惑星地衡流方程式において南北及び時間 方向に波動解を仮定した半解析モデルを用いた実験を行い,物理的な解釈を 与える.また,半解析モデルでは表現されない物理過程による影響を検討 するために2層プリミティブ方程式系数値モデルを用いた実験を行い,半解析 モデルの結果と比較する.最後に,海洋大循環モデルを用いた北太平洋の 数値シミュレーションにより,ハワイ海嶺周辺で得られた海表面変動に対し て,本研究で得られた物理過程が適用できることを示す.