福茶釜
《福茶釜》

  馬鹿
去御やしきの御室。谷風を見たがり。両国の水茶屋に来り。足がる八介にいゝつけ。角力のかへりを見せにやると。 おし付ため息にて帰り。只今回向院を御立でござります

《福茶釜》

  ほとゝきす
角力取。をどり子をつれ。船あそびに出る。をり節。むかふをほとゝきす。ないて通ふる。すまい。酒機嫌にて。 是ハ一興一興。なんと。一句つゝよからふといふて。角力取一声をなげてうれしや時鳥。 といふて。さあさあ手前手前と。おどり子をすゝむる。おどり子ほとゝぎす今一声ハそつちでせ。 角力おもじるしおもじるし。さあさあ船州船州。酒はつれハならぬ。一句きかうきかう。 せんとうわしハ知りませぬ。角まうどのよふにてもいふて見やれ。 船頭やうやう出ました。角力さあきかう。船どうやつとうやつとうをもかじ取りかじほとゝきす。 角力。わらひながら。それハ句にはならぬ。せんどう知れたことさ。わしも。 をもかじとりかじが苦になれハ。せんどうハやめます

《福茶釜》

  角力取
角力取。山道を通ふる。追ひはぎが出て。角力取を取らへ。酒手を置て行ケといふ。角力何。酒手か。 此方へほしい。をひはぎあま口な内に置て行かぬと。はだかにするぞ。角力おれをはだかにすると。なげるぞよ
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坪田 敦緒 / tsubota@ep.sci.hokudai.ac.jp