袋草紙
《袋草紙下巻》

 一。和歌合次第内裏儀
(中略)
永承六年根合。土記云。左方経家進居洲浜下。取出根。良基進取薬玉。置御前長押上。以根曳展一丈一尺許也。右資綱進取出根。 基家受取置御前。如左方。根長一丈三尺許也。寛治根合作法又如此。又云。四番祝持。 五番不因前番勝負。左方先可進者。是相撲最手。競馬十番等例也云々。同四年歌合時。最後番不依先次。 左先読云々。見同人記。
(中略)
次勝負舞。雖負員多。最後番勝者。可奏勝方舞歟。根合江記云。右方人議云。第十番歌若勝者。可奏勝方舞。 是相撲時。右雖多負。最後番若勝者。奏納蘇利之故也。右中弁師頼童時習此舞。適々此方。 可用意云々。天徳時。雖右方負。逓奏歌曲云々。

土記…土右記なり。

《袋草紙下巻》

 一。判者骨法
(中略)
一番左歌は可優之由。故人所申也。然者哉。前大相国参議之時。歌合は故将作判也。其詞云。右勝と可申とも。左一番は憚思給て持由云々。
古今歌合に。一番右勝例多不見者也。但弘徽殿女御歌合。義忠判之。
一番 霞
  左            相模
はるのくるあしたのはらのやへかすみひをかさねてそたちまさりける
 右           侍従乳母
はるはなをちくさにゝほふ花もあれとをしこめたるはかすみなりけり
このあしたちはら。ひとゝころにやへよりもまさりてたちそふとはへるは。かしこはかりに春の心いふせくみえはへめり。
小野宮右大臣歌合
一番 春花色
  左            少将君
つゆをきてあすもみるへき花なれとくれゆくをしきはなのいろかな
 右           友則
ほのかなるおりはわかねと花のいろのきりたちまさる秋のゆふくれ
今殿下歌合
一番 旅宿雁
  左            俊頼ヽヽ
かきりありていそきたちぬるいほのうちにたれをたのむのかりしたふらん
 右           源定信
むさしのにたひねするよのさひしきにたのむのかりのなくそうれしき
野宮歌合
九番 苅萱
  左           小栄人
ゆく秋の風にみたるゝかるかやはしめゆふ露もとまらさりけり
 右            菅原忠延
うつしうへはつかのまもなくかるかやのみちよのかすをかそふはかりそ
此かるかやの歌は。忠延かみちよのかすといへる。秋のみかるかやにてはあらて。はるのやまへにさきたちもゝのはなとなむ思いてらるゝ。
 ことのはゝこはくみゆれとすまひくさつゆにはうつる物にそありける
顕昭考。承暦後番歌合
一番 子日
  左            皇后宮美作
ふたはなるねのひの松をひきうゑてはなさく春は君そみるへき
 右           匡房ヽヽ
けふよりはねのひのまつをひきうへてやをよろつよのはるをこそまて
勅判云々。尤可仰也。
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坪田 敦緒 / tsubota@ep.sci.hokudai.ac.jp