近代公実厳秘録
《近代公実厳秘録巻之三》
水野山城守器量の事
御寄合組に水野十兵衛と云ふ人有之。名にふれたる角力取大勢かゝへ。江戸勧進角力といへば。自分も出て。
ことの外気性活人成しが。いつしか吉宗公の上意にて百人組番頭となり。夫より御小姓組番頭にぞなられける。
両御番を預り差引する事。是より大任は不可有。されば山城守武術にくはしければ。組中武芸の差引格別なりけり。
ある時御老中方より。乱舞心掛の者。謡鼓笛太鼓等にくはしき者あらば。両番の内より御用有之候間。
番頭番頭に申上ぐべしとの御吟味成けり。何れも御請に及び被申けり。中に山城守申しけるは。拙者組には左様の者は一人も無之候。
武芸の達人は多く御座候へども。乱舞抔心掛候たはけ者は無御座候と御返答なり。誠に活気の答へなりと云爾。
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坪田 敦緒 / tsubota@ep.sci.hokudai.ac.jp