遊里様太鼓・けいせい新色三味線
《けいせい新色三味線六之巻》目録

第二 燃杭に火の付やすき柴屋町
    戻り駕籠に乗たりや久六かいたりや西六
    鼻毛抜ハ色所のきんもつ
    女郎のちからたてハともへこのかた

《けいせい新色三味線六之巻》

 第二 燃杭に火の付安き柴屋町
    戻りかごに乗たりや久六かいたりや西六
    鼻毛抜ハいろどころのきんもつ
    女郎のちからだてハともへ此かた
秋の夜すがら三井寺の鐘ぞさやけきと謡ふより。月にうかれて白川橋東の詰より。大津への戻り駕籠に。 乗たりや久六。かいたりや才六ろ急ぐに程なく。札の辻をすぎて西へ行。柴屋町の南の門を入より揚屋四郎兵衛が方へゆきて。 大和夕霧しづか此三人手を揃てと云に。こゝろへ。たんほゝの七助。はしり行かとミれバ引かへし。手をもだもだして気の毒そふなるつきするをミて。 こりや。七助。女郎に隙のいるが有て 埒があかんと云事かといへバ。八幡旦那ハ粋かな。はじめての御客なれバ。 さやうの事を申かねせきめんしたる斗にて候と。爰にハ。似合ぬ口上。此代にほのか様と云てきりやうの能新枕様。これハと云に夢もはやくと。 云かけ出しに。何方も女郎の身拵のおそきを待程さびしき物ハなし。殊に初ての事なれは。ていしゆに毛抜をかしやれと云に。 一対のけぬきを取わけて。親げぬき斗さし出す。其儘と云に。ちいさきハ爰元にかぎらず。色里のさしあいと云。心をとへハ。 只長かれと祈はなげを。ぬかしましてハと。一座大わらひしたる時。女郎来りてこれハ。めづらしいお客様と云より。気を付て見るに。 都ぢかくにてから。女郎の風俗も余程替り。ものいふ声も高く。道歩く。も大足にしてせハしく化粧もめだつ程して。 衣類帯もみじかく 面々に三味線を抱て。此中のはやり出しと云てうたふを聞ハ 京て七年忌まて過たる井筒やの源六がおとり哥。 酒あひもするどにして。いな事にりきみ。女しやとてあなづらんすな。此中もむり云客かあつて。わしが手をとらへて。 痛む程しめさんしたゆへ やがてくゞつて。かいなそりに。ゑいといふてはねたれバ。まつさかさまに三間間中。いかんしたと。 に筋を出し。ちからこぶいれての手柄ばなし まちつとせいの。云やうもあるべきに。すまふとつたとのよせいに。 皆々あきれ。酒も大かたに呑て名残ハかさねてと我宿を急ぎしに。一町に二所程づゝのけんくわ。ふむの。たゝくの。 羽織が見へぬの。下帯がないのと。大わらハになり。ハ血走れ共またやめす。さハがしき夜あそび。 大方ハ丸太舟の水主。浦々の猟師。米中衆などのつきあいにて。物毎あらくつよき事を。第一とするなり。 扨こそ女郎の相撲のぜいばなしおもひあたりておかし
物語・小説に戻る

坪田 敦緒 / tsubota@ep.sci.hokudai.ac.jp