伽羅先代萩
《伽羅先代萩第七》
サアサアま一つ所望じゃ所望じゃ。今ン度はかふ金ン平ラか金時の様な。
強い事がよかろよかろと。地ハル請のよいのに図に乗て。詞強い事ならヲヽ夫レ夫レ。
そんなら瀬川菊之丞。こいつは又可愛らしい名じゃが。若菊之丞は女役じゃないか。イヤイヤ。江戸一チ番の敵役。脊の高さが六尺余りでふとり肉。
たとへて見様なら誰レであらふぞ。ヲヽソレソレ。此国から出られた。てうど谷風と言男。
顔をまっかにぬりちらし。橋がゝりからぐはたりくはたりと。イヤ声色ばかりは面白ない。
ついでに身振も仕て見せう。おれが足を踏度に。そこらの石をひらって来て。今の樽でもたゝいたたゝいた。おっと合点と専内是非内。
かげを打ツ役ぐはたりぐはたり。ぐはたぐはたぐはた。
地ハル真此ごとくとふんばたかる。詞ヨウヨウ菊之丞様菊之丞様。椎の木四五本小楯に取リ。
赤沢山の山千鳥。ほぞんかけたか掛千鳥。とんびはとゝうからすはかゝァ。替ったハレマ対面じゃなァと。地ハル何を言フやらやくたいも。
知らぬが仏ケそうぞうが フシやっちゃやっちゃとほめにける。
舞台芸術に戻る
坪田 敦緒 / tsubota@ep.sci.hokudai.ac.jp