| 此清吉。先年九紋龍といへる角力の腰さげを奪んとして投殺され。ヤツト蘇生せし故。仲間ニてかれを異名し。九紋龍清吉といふよしなり。 |
| 万力。幕の内になり。戸田川鷲之助と改。後師の名を継て。勢見山兵右衛門となる。 |
| ふぐといふ濁りをとれはふくと読むとくと見なさい目は金の色 |
| とつこひと大きな声をかけはしの因州因州と胸のくるしみ |
| 茶の湯より飯の湯をすく角力取 |
火無し東。又附木をとりて。
いほの松いほの松阿武松。又石をとりて。
いし西。又鎌をとり。カチカチと二ツ三ツ打て。
稲妻稲妻。
かやうの紋を付しは三箱とみへたり。
扨。上の処に角力取組の如く筆太に書しは。世に憚る事を隠してそれと知られるやうにせし也。譬ば。遠近山北町奉行遠山也三ツ柏南町奉行牧野。田舎。
三箱の許へ来り。此絵はいかにと言て一枚与へける。三箱見るより。その趣向には頓着せず。只わが姿のありしを見て大きに悦。是は必流行べしといふ。神仏の角力になんでわが身の這入しや。一円わけもわからず。たゞ錦絵に出たるを悦びけるもおかし。