| | 維年天正歳次甲戌今月今日。石田氏某妖狐のためになやまさる。夫二気はじめてわかれ。
三才すでにきざし。物と人とをのをのその類にしたがふて。性分その形をうけしよりこのかた。品位みなひとしからず。
こゝに狐魅の妖ありて。恣まゝに怪をなし。木の葉をつゞりて衣とし。髑髏をいたゞきて鬘とし。皃をあらため。
媚を生ず。渠常に氷を聴て水を渡り。疑をいたす事時として忘れず。尾を撃て火を出し。祟りを作こと。更に止ず。
この故に大安は羅漢の地に奔り。百丈は因果の禅を詰る。千年の怪を両脚の譏にあらはし。一夫の腹を双手の賜に破らしむ。
粤に石田氏某は。軍戸の将帥。武門の命士なり。何ぞ妄に何時が腥穢をほどこして。その精気をうばふや。
身を武佐の旅館によせて。愛を良家の寝席に興さしむ。汝が状は綏々。汝が名は紫々。式てその醜をいひ。
唱てその をしめす者也。首丘はその本を忘れざることをいふといへども。虎威を仮の奸ことは隠すべからず。
汝今すみやかに去。速かに去。汝しらずや九尾誅せられて。千載にも赦なきことを。誰か汝が妖媚をいとひにくまざらん。
もしすみやかにしりぞき去ずは。州郡大小の神社をおどろかし。四殺の剣をもつて殺し。六害の水に沈めん。 |