おむなつう文章
《おむなつう文章》
○客の方へ遣す文章
御かへらせのせつ御うちかたの御つがふもやとあんじられ候へは早々に文して申あげ候まづとや其御ふしよりは御かわらせものふ御さへさへ敷入らせられ候や聞ましたくとしてわたくし事もかわりのふあり候へははゞかり様ながら御しんやすく思召下され可候扨は御出のせつは何とやらん御しんのほどもすめやらずろくろくに御顔見世ものふこなたにゆるりと伊豆日記にて何故伊藤御いそぎやらそれのみ九郎祐清に御しんのほども角力なら股野御げんは川津なりともかうし先まで御たち寄下され可候様
ニ
ひとへにねがひあげむつからくれぐれ七時の打出しには此方のみせも引
ケ
候へは噺しは中の間中の丁木の根はまさしく根元やの二階にておもひ金石かのゝ介持光からぬやうにして人が海老名の源八ともそれはことはり御連なし只小藤太に御出かし其せつしゆびして行氏にきりきりきりと身ごしらへ噺やおゝくあやまたず祐ちかの祐安のと酒であやなすはうはべのことたとへ外に一万や箱王遣ふ客があればとて右兵衛佐のゑりもとにつくは契情の風折気でなくたか袖引ともぬしさまをさておいて真田こゝろは御ざなく候かやうにべつたり平山の武者所に申のもいとしひかわゆひと思へばこそ七騎落の流るゝともふし木の中にて添ひとをさんと鳩や先のおもひまでかげすへながらねんじ居り候とかく承知左衛門におぼしめし被下かしまつた我身事を鬼王付て申ものあらんなれと人の口には戸さゝぬ御代のためしもあればやがて我身のねんも明惣ついふしのふしぶしなく末を長尾の新六とたのしみにつとめあかし候いさゝかのことに御腹たつ姫にて何事も大場に御汲わけ下され可候あみの手に葉のまちかへずいたら貝の御こゝろなう御身の男もたてゑぼし三本傘のいつわりなく大一大万大吉の待合の辻占もつげのはをひく御方なれど月と星との身のうへのほどおんさつしふたつへいじの蝶鳥と黒一もんじにおもひつめ三つ引ひかぬ四
ツ
目結びも御げんのふしと申残しまいらせまいらせ候もばんけいに候へばまづ此文はこれぎり
尚々
御かへらせのせつは中の丁もこみ相候へは御はらたちのおもむきは御たかひに御用捨下され可候外
ニ
御かよひも是あらはつむりのもの御気をつけ女中がたてはなけれ共あとよりしつかに御出下され可候様ねんし上候かしく
○同じく返事
さつきの空さだめなきに雨そほふりいとつれつれにくらし候おりから御こまこまとの玉章うれしくくり返しはいし候何やらおもしろき狂言のすじ御申こし候へともいつとても同じ様にそんじられ候まことにすぎにし御けんのふしはいつになき大入にて近年の大当りと存候さては五月下旬にも相成候てざいなまくらの客人達われもわれもといで立給ふもことわりや打ぬきの小紋の藍がへしにちりめんの羽折なげかけすげ笠まぶかに着なしつゝしんすしんすとうち通れは昼三までも買れる時せつもとより曾我の我々なれば金を狩場の切手もなく指をおり日をかぞへ五
ツ
や三とせのなじみにしたがいよりとも公の大つむりな女良を買ふ気もなくたゞしんがいの荒四郎顔は御所の黒弥吾にだまつていばら左衛門もごふはらなれば太平楽の平馬丞いふも君にあふみとおもへばこそ八幡の森の八幡しらずとやらいまにしれぬ御こゝろ鼻のしたの孫八ざへもんをながくしてちゑは朝伊奈の我まゝものてゝつほうのしかりもかまはずのたくりつん出るは少将も心に庫まいどころを見おいたゆへいつもてんてん舞づる屋の伝三をするもみな其方故と存られ候今はそれにひきかへ啌に実にたらず三
ケ
の庄わる女郎五郎や十良の金に目がくれ坐敷にも伊豆の次郎それ故にこそ犬坊のげぢげぢのとあくたいも言申候さりながらほう条のねいじんかたぎをやめにして腹和田をきわめ団三郎をすへてよぶ気なら二番目は八百屋お七をおいてなりともかよひいくあん吉三の客もなくたゞひとりかよひし身なれば大せい一座の附合には太兵衛に武兵衛釜屋しよまいと思へども又とざ衛門や伝吉のはりこみにて弁長さわやかにいゝこめられ工藤もうらみはやまやまなれど富士の巻紙のありつたけ申候残りはたいめんのうへうつぷんをさんじかしとまことはあく筆兵衛景清に三保谷のはぢをのこしまいらせ候ほうぼうの人丸がわれにも見せよと御申候ともかたく筥根の別当におさめをき友切丸のふんじつせぬやうにあらやで声をからすながぜりふたゝかれたあとのあざまるかいたくともそこが苦界とあきらめてやつぱりしらぬお傾城さらば
尚々
せんこうまんこう申もおなしことながらたゝ御文のへんじ切ばかりにいつの時の京の次郎とふてをのこし候めてたくかしく
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坪田 敦緒 / tsubota@ep.sci.hokudai.ac.jp