柳亭記
《柳亭記巻之上》
○むてつぱう
むてつぱうとは。関東下世話にて今もいふ者あり。
今様踊くどきといふ小歌本に載たる諸国角力の名よせに中略「うきゝのおひなげ御用木きかん十五郎むて八はよわいやうでつよいへ」といふ事あり。
巻中に元禄。宝永の事見えたり。されば当時無手八といふ角力ありて我より強きものもおそれず。
これよりいでし詞なるべく思ひしがさにはあらず。元禄よりはるか古き冊子に無天罰者と書たるがあり。
むてつぱうは無天罰の訛り天罰知らずといふに同じ。はや元禄の事はいひ誤りそれを名につきたるなるべし。
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坪田 敦緒 / tsubota@ep.sci.hokudai.ac.jp