醒睡笑
《醒睡笑広本巻之一》落書
越前朝倉殿に子息十二人あり。金吾は十二番目なり。四番めを小太郎といひ。五番目を五郎と云。五人はりをひかれしつよ弓也。 或時兄弟よりあひ給ひ。双方の侍衆相撲をとるに。小太郎方勝ぬ。小太郎弟にむかひ。参りた参りたのと名乗られし。 五郎無念に思ハれ。近々とより。一刀に小太郎を切殺されし。小太郎女中。尼になりて後。いこんやまず。 人数を催し。五郎のたちへをしよせ。終に国に置れさりし時。
越前に物きれ二つ出来たり
あまくにたちに五郎入道
《醒睡笑広本巻之二》名つけ親方
相撲とりあり。雄長老のもとに出て。なにとそ名と名字をつけて給れと望しかハ。荒磯浪助。ついでに名乗をこふ時。堅苔と。
《醒睡笑広本巻之二》賢たて
ちからハさのミなふて。手のきいたるをたのミにし。相撲をすく男あり。又手をとる心はすこしもなくて。 唯ちからのあるをうてにし。すまふをこのむ坊主あり。双方名乗あひ。僧と俗といくたびとれとも。 力のつよきにより。手をやくにたてす。坊主かちとをしけれは。俗腹をたち。見物のおほき時。まけてのきさまに。 高々と声をあけ。いかほどの坊主ともすまふとりたるか。あの入道ほどすしくさいやつにあふた事がないと。悪口計にかちしおかしさよ。
《醒睡笑略本巻之一》賢達て
一
力はさのミなふて手のきいたるを頼にして。相撲をすく男あり。又手をとる心はすこしもなくて。 たゝちからのあるをうでにして。相撲をこのむ坊主あり。双方名乗あひ。僧と俗といくたひとれとも。力のつよきにより。 手をやくにたてす。坊主かちとをしけれは。俗腹をたち。見物のおほき時。まけてのき様に。高々と声をあけ。 いかほとの坊主ともすまひをとりたるか。あの入道ほと。すしくさいやつに。あふたことかないと悪口はかりにかちしおかしさよ
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坪田 敦緒 / tsubota@ep.sci.hokudai.ac.jp