年忘噺角力
《年忘噺角力》

   序
吾妻の百物かたりハもの凄く。在郷の茶のみ噺は賤しく。京の目利はなしハ貪るに似たり。爰に浪華の風流家。 噺にすまふとらせむと。やくらに一声をあくれは。好き人のめんめん。日夜に舌頭のしこ踏かため。既にうるハふ師走朔日。 春は山ふき咲なる大江屋の。土俵にいりて手をあハせ。しつとんとんしつとんとんヨウイヤナと。ちからあしとゞろく東西の行司は。 木むらしやくしの徒にハあらて。毛のない天窓に付髪して。神風吹なひく。やまと扇しやにかまへ。双方顔を見合てと。 身かまへする今日の結ひはしめ
浪華 対山 印

《年忘噺角力巻四》

  ○泥亀酒          大西
近年名石をあつめ。あるひハ盆石などはやるについて。石好の人々。いろいろと珍らしき物をとあつめ。 会など度々ある中に。けふぞ此一品珍物。これにまさるものハあらじと。うやうやしく高上なるふくさつゞみより。小キ箱一つ取出し。 さし出さるゝに。みなみな打よりて押いたゞきて。上がきを見れハ古哥也。
   夜をこめてとりのそらねハはかるとも
    世にあふ坂の関取ハわし
と有ルを。いぶかしく蓋をとり見れバ。茶わんの割れが
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坪田 敦緒 / tsubota@ep.sci.hokudai.ac.jp