名勝負熱戦譜・北の湖−千代の富士
 星取の経過を見ると玉錦−双葉山に似ている。場所数が増えただけにハッキリとは色分けされていないが、 57年になってすっかり優劣が入れ替わってしまった。ところがこのままでは終わらなかった。 59年 5月、北の湖は横綱59場所目にしてフルモデルチェンジした。千代の富士は調子を崩し錆が見えた。 この場所に関して言えば、千代の富士など新北の湖の敵ではなかった。ただ、「古」モデルチェンジだったせいもあって、新北の湖が長持ちしなかったのは残念だった。
 昭和53年 7月初日 1○北の湖(吊り出し)千代の富士●0
 立ってすぐ右四つがっぷりに組む。千代の富士は左上手を浅く、右下手を深く引き、 北の湖の真ッ正面について吊り身に攻めようとした。しかし北の湖は全く動かず、咄嗟に左を巻き替えた。 千代の富士も左を巻き替えたが、北の湖は構わず抜き上げ、西に無造作に出した。
 昭和53年 9月 2日目 2○北の湖(突き出し)千代の富士●0
 北の湖は立ち合いから突き立てた。千代の富士は 2回の去なしを見せたが、横綱に見られては逃れられず、 東土俵に詰まって右突きで突き飛ばされた。
 昭和54年 1月 6日目 3○北の湖(吊り出し)千代の富士●0
 千代の富士は体当たりで出たが北の湖も体当たりで跳ね返し、次いで猛然突き放した。 千代の富士は向正面に廻り込む。北の湖は追ってさらに左から踏み込み、左を入れて右上手を取り、高々と吊って赤房下に出した。
 昭和55年 3月 9日目 4○北の湖(寄り切り)千代の富士●0
 体当たりの北の湖は続けて突き立て西土俵に追い詰める。千代の富士は必死に堪え、左四つ右上手を取った。 しかし北の湖も右上手を引き左差し、右から引きつけ吊り上げる。千代の富士は足をバタつかせて必死に残したが、北の湖は体を預け、左を突きつけ青房に寄り切った。
 昭和55年 5月初日 5○北の湖(寄り切り)千代の富士●0
 立ってすぐ左四つがっぷり、北の湖の引きつけが遥かに勝ってドッと進み、白房に寄り切った。
 昭和55年 7月 8日目 6○北の湖(寄り切り)千代の富士●0
 千代の富士が北の湖の右腕をいきなり手繰る。北の湖が大きく泳ぐと、千代の富士は右を入れて左上手を引き、吊り上げた。 北の湖は足が浮いて危なかったが、必死に凌いで左を差し、右上手を引きつけて正面に寄り、慎重に寄り切った。
 昭和55年 9月 4日目 6●北の湖(打っ棄り)千代の富士○1
 北の湖はやや左に変わって叩きながら左四つ、千代の富士は左で前褌を取り、右を巻き替えようとする。 北の湖右で抱えて左おっつけから巻き替え左四つ、下手を引いて上手を狙うが、千代の富士は左を返して許さず、次いで深く左下手。 一呼吸、千代の富士左に飛んで右を巻き替えると北の湖はその機を捉えて青房へ突っ走ったが、両差しとなった千代の富士は左から掬って打っ棄った。北の湖は被さったお蔭で残せず、尻から落ちて土俵外に転落、連勝は24でストップ。
 昭和55年11月12日目 7○北の湖(吊り出し)千代の富士●1
 北の湖が突っ張って出ると千代の富士はかいくぐって右上手、左四つで頭をつけた。 一呼吸、北の湖は面倒とばかり下手から引きつけ強引に吊った。千代の富士はこれを残そうとしたが、右足を東に出して敗れた。
 昭和56年 1月千秋楽 8○北の湖(吊り出し)千代の富士●1
 北の湖が突きから右差し、千代の富士が左を巻き替えてがっぷりの左四つ。 胸が合い、一呼吸から北の湖が腰を下ろしてエイと吊り上げ、バタバタとやって残そうとする千代の富士を向正面に吊り出して相星、北の湖は左膝から崩れたが、執念で優勝決定戦とした。
 昭和56年 1月決定戦 −●北の湖(上手出し投げ)千代の富士○−
 決定戦は千代の富士のぶちかましを北の湖両手を出して受けたが千代の富士右上手を取って頭をつける。 北の湖は得意四つだが上手が引けない。横綱強引に右から抱えて出るが千代の富士堪えるや右上手出し投げを強襲、 見事に決まって横綱は右膝から崩れ、千代の富士の初優勝が決まった。
 昭和56年 3月千秋楽 9○北の湖(寄り切り)千代の富士●1
 千代の富士頭から鋭く突っ込んだが北の湖は左を入れて右から引っ張り込んできたため動けなくなった。 千代の富士は左前褌は取っていたが、北の湖右からおっつけて右前褌を取って引きつけた。 横綱さらに左下手を取って西に殺到、一気に寄り切る完勝。
 昭和56年 5月千秋楽 10○北の湖(吊り出し)千代の富士●1
 千代の富士が突っ込めば北の湖やや左に動いた。千代の富士は左上手、右を差して得意の形。 対して北の湖、左で抱えるも上手に手が届かず、苦戦と見るや機をみて強引に巻き替えて二本差しにした。 そして北の湖はこの場所たびたび見せた上手切りに成功するや、赤房に出ながらグッと吊り上げ連続優勝を決めた。
 昭和56年 7月千秋楽 10●北の湖(寄り切り)千代の富士○2
 千代の富士鋭く突っ込むと右上手を狙った北の湖の狙いは外れて抱え込む形。 千代の富士は左前褌は取っているが上手は引いていない。北の湖強引に西に出ると千代の富士右に廻り込み体を入れ替えた。 さらに千代の富士右上手を取るや鋭い出し投げを打つと北の湖は大いに泳ぎ、 千代の富士は北の湖の左について猛ダッシュ、東に殺到して寄り切り、堂々の優勝で横綱も手にした。
 昭和57年 1月千秋楽 11○北の湖(吊り出し)千代の富士●2
 千代の富士が低く鋭く出て右上手、左では下手を取って引きつけた。 北の湖は右上手が取れないが慌てず、おっつけて上手を取る。千代の富士は左四つで喰いついて上手を与えない筈だったが、 上手を取られた上に自分の上手は切られてしまった。北の湖は充分になるや西へ吊り上げて攻める。 千代の富士が辛うじて残すと、北の湖はまたも吊り上げ、白房に高々と吊り出し、大相撲は北の湖に凱歌が上がった。
 昭和57年 3月千秋楽 11●北の湖(寄り切り)千代の富士○3
 千代の富士は頭から突っ込んで右前褌を取り左四つとする。北の湖は右上手が取れず左半身でしかも反り身。 千代の富士は右から出し投げを打ち、左を前褌に替えて頭をつけ、引きつけるや一気に白房に寄り切った。
 昭和57年 9月14日目 11●北の湖(寄り切り)千代の富士○4
 千代の富士は立つや右上手を引き左下手も浅く、頭もつけて充分。 北の湖は右上手が取れず左半身。千代の富士は左から引きつけ西に寄り切り。
 昭和58年11月13日目 11●北の湖(寄り切り)千代の富士○5
 千代の富士が低く飛び込んで左差し、互いに上手が取れない形から先に千代の富士が上手を取った。 北の湖は千代の富士の下手を切ったが、千代の富士は左を前褌にして改めて取り直し頭もつける絶好の形。 北の湖はやむなく下手投げを打つが、却って悪い。千代の富士は引きつけて赤房に寄り切った。
 昭和59年 1月14日目 11●北の湖(浴びせ倒し)千代の富士○6
 当たって北の湖が右に下手を引き、左をも差した。千代の富士は左上手を引きつけ、右を巻き替えて寄る。 左上手を切られた北の湖は、強引にも腹に乗せて左後ろに振った。千代の富士は白房下に飛んだが、寄り切ろうとして腰が入りすぎた北の湖はぐらついた。 千代の富士は左から引きつけて向正面に浴びせ倒した。
 昭和59年 5月13日目 12○北の湖(寄り切り)千代の富士●6
 当たり合って千代の富士は左前褌を狙ったが、廻しに触ったものの手は掛からず、 北の湖は左から入って返し、右もねじ込んだ。千代の富士が右に廻り込むと北の湖はグイグイ西に寄り進み、 千代の富士の右巻き替えを阻んで寄り詰め、懸命に堪える千代の富士をグイッと寄り切って北の湖は13連勝とした。
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