名勝負熱戦譜・小錦−霧島
 昭和57年 7月初土俵の小錦は 2年で入幕、幕内の猛者連を震え上がらせた。 自身の重量で怪我を抱えたが、パワーで相手を蹴散らして大関となった。57年 7月当時、霧島は前場所新十両で負け越して滑り、 幕下で場所を迎えて負け越していたのである。その霧島も「技能の井筒」の名を辱めない相撲を引っ提げ、 小錦と同時に入幕、ただあまりにも体が細く、下位に雌伏していた。この両者の対戦は、最初は拮抗していたが、いつしか霧島は小錦の苦手になっていた。 その後、霧島は増量とともに地力を増し、大関になる。大関としては両者ともなかなかの強みを持ち、特に小錦は横綱を取ろうかという勢をも示した。 そして、横綱が消え去ったこともあって 6戦連続して千秋楽の結びで対戦した。 しかし、霧島は右肘の故障、小錦は過重と下半身の崩壊で共に大関を滑り、平幕で幾度か対戦し、内容は兎も角としても、五分の対戦成績で終わった。 さて、大関としては小錦の方が強かったように思うだろう。確かにそうだと思うのだが、大関時代の勝率だけを見ると、霧島の方が 1分だけ上廻っている。 恐らく小錦の方に初日負けの休場や大負けが散見するからであろう。
 昭和59年 5月 9日目 −○小錦(押し出し)霧島●−
 小錦は十枚目連続優勝であるが、自身「連敗しなかったこと」を勝因として挙げた。 前日には服部(藤ノ川)にやられたのであるが、霧島戦は気魄剥き出しで圧勝であった。 「大型トレーラーが、目の前のミニカーをけ散らすような取り口」(「大相撲」昭和59年 8月号)という。
 昭和59年 7月 9日目 0●小錦(下手投げ)霧島○1
 小錦が得意の猛突っ張りで攻め立てると霧島はよろめいたが、 うまくかいくぐって右差しから両差し、左下手から捻って右下手投げをものの見事に決めて巨体を埋めた。 年期の差を感じさせた霧島の技。
 昭和59年 9月10日目 1○小錦(突き出し)霧島●1
 小錦が左喉輪で起こし、交互突き 5発、合計 6発で向正面に突き飛ばす。
 昭和60年 1月 2日目 1●小錦(掬い投げ)霧島○2
 小錦が突き立てると霧島は後退したが左を手繰って両差しになった。 霧島の体勢は左前褌右は深い下手、小錦の左腰につく形。ここから霧島、右に廻って左下手捻りと併せて右の下手投げ、 小錦が左小手投げにくると、霧島はさらに右から掬う止めの一撃、小錦は右手から土俵に落ちた。
 昭和60年 3月10日目 2○小錦(寄り倒し)霧島●2
 小錦が突っ張ると霧島は右から入って左も入れる両差しとなった。 しかし小錦は廻しを取らぬまま体重に任せて正面に歩き、霧島が右へ打っ棄ろうとするところ、両手で胸を押して寄り倒した。
 昭和60年11月 3日目 3○小錦(突き出し)霧島●2
 小錦が両手突きでまず突き飛ばし、次いで突き立て黒房に突き出し初日を出した。
 昭和61年 3月 7日目 3●小錦(上手出し投げ)霧島○3
 小錦は闘志がなく、突っ張らずに左差しにいく。霧島は飛び込んで右上手、頭をつけ、小錦の左についた。 小錦が右からおっつけて向正面に出ると、霧島は下がりながらサッと右上手出し投げ、小錦は泳いで赤房下で土俵を飛び出していった。
 昭和61年 5月 4日目 3●小錦(突き落とし)霧島○4
 小錦が右喉輪左おっつけで押すと、霧島は土俵際に詰まったが、弓なりの体勢から廻り込もうと左おっつけから突き落としにいった。 すると小錦は左膝から転倒、呆気なく敗れた。
 昭和61年11月10日目 3●小錦(押し出し)霧島○5
 霧島が低く立つと小錦の右突き放しは上滑りとなる。小錦構わず出ていったが、霧島は東土俵で左へ廻り込み、小錦の右腕を手繰って泳がせ、 飛び込んであっさり押し出した。小錦はここに至って霧島を苦手とした。
 昭和62年 1月12日目 3●小錦(下手出し投げ)霧島○6
 小錦は 2回待ったし、やっと立ったが霧島の右変化でますます動揺、突っ張れず飛び込みを許した。 霧島は右の下手、左はおっつけで小錦の右を殺す。小錦は構わず左へ小手捻り気味に振り、右腕で喉を押す鉈の恰好で無理矢理寄り切ろうとした。霧島はこの機に左前褌を取り、小錦の右につく。 霧島は頭もつけ、左前褌を浅くし、小錦が無理矢理右を入れようとすると、霧島は左で殺す。機を見て小錦が左上手を取ったが、霧島はすぐさま切って右下手出し投げで廻り込み、土俵中央。 小錦の廻しは相当に緩んだ。霧島が再度出し投げにいこうとしたが効かず、小錦がさらに出る端、霧島は右から捻って左に廻る。数呼吸、霧島がさらに左から絞り、 右出し投げで正面から西に引っ張り、さらに右に廻って西土俵、下手出し投げで遂に勝った。 2分強の熱戦。
 平成元年 1月 3日目 4○小錦(押し出し)霧島●6
  2年振りの対戦、霧島突っかけて小錦が待った。立って小錦が右腕一本で喉輪押し、ドーッと出て真っ直ぐに押し出した。
 平成元年 5月 5日目 5○小錦(押し出し)霧島●6
 霧島が右に変わって上手を狙ったが、小錦は右で強くおっつけて左の筈押しから正面に押し出した。
 平成元年 7月 3日目 5●小錦(寄り切り)霧島○7
 立ち合い霧島の左拳が仕切り線を越え注意を与えられる。立って小錦が左肩で当たり突っ張ると、霧島は左へ廻って去なし、 右腕を手繰ってさらに廻り込み、左上手を取ると出し投げ連発で攻め立て、小錦の腰を伸ばすと右下手を引き、がぶり寄りで西に寄り切った。
 平成元年 9月 6日目 5●小錦(引き落とし)霧島○8
 小錦が突っ張りから右おっつけで出ると霧島は土俵を伝って左へ逃げる。 小錦はついていけず赤房前で腹這い。無惨。
 平成元年11月 3日目 6○小錦(押し出し)霧島●8
 霧島が右前褌を取ったが小錦のかち上げは威力充分で瞬く間に切れる。 小錦は喉輪攻めで猛攻を見せ、最後は右喉輪押しで東に押し飛ばした。
 平成 2年 1月 6日目 6●小錦(引き落とし)霧島○9
 小錦は霧島の奇襲を警戒して待ったしたが、却って霧島に余裕を与えた。そして小錦が踏み込んで右差し、廻しを狙ったが形に構わず出ていった。 しかし霧島は小錦の右腕を手繰って引く。小錦はついていけず西土俵にバッタリ倒れてしまった。
 平成 2年 3月 7日目 6●小錦(上手出し投げ)霧島○10
 小錦が突っ張って出ると霧島は右前褌を取って左に廻り、左上手も取って右四つ、小錦の右について廻しを与えない。 小錦は構わず出るしか手がないので勿論出ていくが、霧島は左から上手出し投げを放った。小錦は正面土俵を左足から割った。
 平成 2年 3月決定戦2 −●小錦(寄り切り)霧島○−
 霧島が脇を固めて出ると小錦は霧島の喉を両手突き、さらに左喉輪で攻めたが、 霧島は右からあてがって押し上げ、喉輪を外して右へ廻り、小錦が頭を下げてなお左から押そうとするところ、霧島は両方から挟みつけ、小錦の右を手繰って左に廻り、左上手を取ってなお左へ廻り込む。 小錦は自分の右に動かれてまごつくうちに霧島は右廻しも浅く取り、東にがぶって寄り切った。
 平成 2年 5月13日目 7○小錦(押し出し)霧島●10
 右喉輪で小錦が一気に出て押し出し完勝。
 平成 2年 9月千秋楽 7●小錦(寄り切り)霧島○11
 霧島が低く出て右を浅く差し左のおっつけ、小錦が右を捻じ込み出ようとすると、 霧島は左前褌を取って出し投げに崩し、寄り切った。
 平成 2年11月千秋楽 7●小錦(寄り切り)霧島○12
 霧島が左に上手を取って右も前廻しを引いて頭をつける。小錦はこれを抱え込もうとしたが、 霧島は右を深くし、左では前廻しを引きつけて寄り立て寄り切った。
 平成 3年 3月10日目 8○小錦(寄り切り)霧島●12
 小錦が 1つ待った。立って霧島は低く出て左前廻しを取る。しかし小錦は突き起こして左四つとし、両廻しを引きつけて寄り立てる。 霧島は右に上手を取ったが為す術なく、小錦は胸を合わせて青房に寄り切った
 平成 3年 5月13日目 9○小錦(寄り切り)霧島●12
 小錦が待ったして 2度目、小錦右から突っ張って出ると霧島は飛び込んで左を取って寄り返した。 しかし小錦、両上手を浅く引き、逆に頭をつけた。霧島が窮して右を抜くと、小錦はグッと引きつけて西に寄り、霧島が右上手から吊り身に打っ棄ろうとするにも構わず、寄り切った。
 平成 3年 7月千秋楽 10○小錦(寄り切り)霧島●12
 霧島が低く出て右四つとなるも、廻しの引きつけ合いとなって小錦が吊り身に進み、西に寄り切る。
 平成 3年 9月千秋楽 10●小錦(寄り切り)霧島○13
 霧島が頭から鋭く出て左前褌、頭をつけて右から絞り、前褌を取って引きつけ、寄り切った。霧島完勝の一番。
 平成 3年11月千秋楽 11○小錦(押し出し)霧島●13
 立ち合いは霧島が頭を下げて左を狙って突っ込んだ。 対する小錦は左かち上げ、そしてもろに抱え込んで青房に進み、胸をドンと突いて押し出した。
 平成 4年 1月千秋楽 12○小錦(寄り切り)霧島●13
 霧島が踏み込んで左前褌を取るが、小錦は左差し右から抱え、左から引きつけてジリジリ寄り、西に寄り切った。
 平成 4年 3月千秋楽 13○小錦(寄り倒し)霧島●13
 大関同士の相星決戦である。互いに頭で当たり合ったが、霧島はやや左後方に下がって引いた。 しかし小錦は難なくついていって喉輪から左右で抱え込み青房に驀進、霧島が左下手投げにいったが構わずのしかかりドッと寄り倒した。
 平成 4年 7月千秋楽 13●小錦(寄り切り)霧島○14
 霧島が頭からぶちかまして左右の前廻し充分、頭をつけて揺さぶりながら寄り立てる。 小錦は右を巻き替えようとしたが、霧島はこれを許さない。小錦が左右から抱え込んで寄り返そうとするところ、 霧島は左下手出し投げで崩して右筈から西に寄り切った。
 平成 4年 9月千秋楽 14○小錦(押し出し)霧島●14
 小錦の両手での喉輪攻めで霧島は忽ち仰け反り、右上手を取ったものの押し出されて負け越した。
 平成 5年 3月12日目 15○小錦(寄り倒し)霧島●14
 小錦が突っ張って出ると霧島は左おっつけから両下手を引くが、小錦は抱えて寄り立て、赤房に寄り倒した。
 平成 5年 5月 3日目 15●小錦(下手投げ)霧島○15
 霧島が突っかける。霧島が当たってから左に変わると小錦はついていったが、霧島は両下手を取った。 小錦が抱えて寄ると霧島は白房下に詰まったが、右から捻って左の下手投げで逆転した。
 平成 5年 7月 2日目 16○小錦(寄り切り)霧島●15
 霧島が右前廻しを狙うと小錦は左からかち上げ、左で引っ張り込んで左右で抱え、そのまま東に歩いて最後は両手で押し放した。
 平成 5年11月初日 17○小錦(寄り切り)霧島●15
 霧島が左前褌右上手を取ったが、小錦は左差し右から抱えて上手を取り、吊り身に出て白房に寄り切った。
 平成 6年 5月 3日目 17●小錦(下手投げ)霧島○16
 霧島が当たって両差し下手を取る。小錦は左右から抱えて出てきたが、霧島は左に廻って下手投げで黒房下に投げ捨てた。
 平成 7年 5月10日目 17●小錦(送り出し)霧島○17
 小錦が突っ張って出ると霧島は下がりながら左から去なし、小錦があえなく後ろ向きになるところ、霧島は後ろについて赤房に送り出した。
 平成 7年 7月 8日目 18○小錦(寄り切り)霧島●17
 霧島が頭で出て右前褌を取るも、小錦は左から右と上手を取って寄り進み、青房に寄り切る。
 平成 7年 9月初日 19○小錦(押し出し)霧島●17
 霧島が頭から出たが小錦は突っ張って進み、さらに左右から抱え込んで寄り立て、左喉輪右筈で押し出した。
 平成 7年11月 4日目 19●小錦(上手投げ)霧島○18
 一気に出てきた小錦に対し、霧島は左に飛んで上手投げであっさり倒した。
 平成 8年 1月11日目 19●小錦(送り出し)霧島○19
 霧島が飛び込んで右前褌を引く。小錦は左かち上げ右突き放しで立ち、霧島の前褌が切れると小錦は突き放して出る。 霧島は左へ左へと廻り込むと、小錦は青房にそのまま歩み出てしまった。
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