(1) : 種々の変化球を投げられるようになること
(2) : 変化球の物理を古典力学的あるいは流体力学的に理解すること
(3) : 変化球を数値計算で再現すること
以下,各変化球に関する情報を記す.これらはあくまでも情報であり,正しいとは限らないので注意されたい(変化球の相性,感覚には個人差があることを常に忘れないようにしたい).これらの情報が少しでも参考になれば幸いである.
- 上半身を心持ち先に回転させて,腕が遅れて出てくるように投げると変化が大きくなるようだ.
- 曲げた薬指を軸にして人差し指でボールに回転を与えるような感覚でリリースするとかかりやすい気がする. ただし薬指を意識しすぎるとコントロールがつかなくなる恐れがあるので注意したい.
- シンカーの一つの握りとして, 親指・人差し指・中指で直角三角形を作り, その三角形でボールを支えるという方法が考えられる. この握りではボールを安定して握れるので, 比較的コントロール良くシンカーを投げたい場合には適しているだろう.
- 球を握るときに,親指を深く入れて下から支えるような状態で投げると,下向きの要素が強くなり,球速は緩めとなるが,大きい変化が期待できる.
- 上に球が抜けてしまう場合は,リリースの瞬間に人差し指を視線方向と平行になるようにすると,速度の上向き成分を制御することが出来,ちょうど良い高さに球が到達するようになるだろう.
- サークルチェンジを投げることができる人はサークルチェンジを応用することでシンカーを投げることができる.つまりリリースの瞬間,親指と人差し指で作った環を反時計回りに少しひねることにより,シンカーと同等の変化を得ることができるだろう.特に上投げの人はこの方法が有効であろう.
- 同様にフォークを投げることができる人はフォークを応用することでシンカーを投げることができる.すなわち,フォークの握りにおいて,親指をやや左寄りに当て,人差し指を球に沿って少し曲げてやった状態でフォークを投げると,球はシンカーぎみの軌道を描きながら落ちるだろう.この場合の握りは,「はさむ」というよりも「左寄りの重心を保つように指を当ててやる」という感覚に近い.
- ストレートの握りよりもやや左側に人差し指と中指を置く.
- 投げる瞬間は人差し指を根元から押し込むような感覚でボールに強い回転を与える. その際, 手首を若干体の外側に曲げるように押し込むと水平の曲がり成分が大きくなると期待される.
- シンカー同様, 上半身を先に回転させるような意識で投げると比較的うまくいくように思われる. ここで言う上半身を先に回転させるという言葉の感覚は, 体を早めに開くようにして, 腕が上半身の回転に引きずられる様についてくるという風にも言い換えられると思われる.
- 直球のように速いシュートを投げたいと思ったら上半身を開く動作を瞬時に行なわなければならない. このときグローブを着けている腕をやや高く持ち上げ, 投げる瞬間に肘を胸に打ち下ろす様な感覚で投げると素早く上半身を開く動作が自然と促され, 高速シュートが投げやすくなる. またグローブを着けている腕を持ち上げるときにやや後ろに重心を置くと「ため」が出来て更にスピードを稼ぐことができるだろう.
- チェンジアップにはさまざまな握りがある. 逆に言えばどのような変化をチェンジアップに期待するかによって握りを選択することができる.
- チェンジアップの標準的な握りとしては人差し指・中指・薬指で球の上側に当て, 親指で下を支えるという方法が挙げられる.
- 一般に遅い変化を与えたい場合にはボールを深く握るのが最も簡単な方法であろう. チェンジアップについても同じことが言える. 手が球に触れる面積が多いほど遅いチェンジアップを投げやすい. 試合中に握る深さを少しずつ変えてスピードを変化させるのも有効な作戦の一つとなりうるだろう.
- 速いチェンジアップを望む場合には逆のことが言える. 指の接触面積を減らす, つまり標準的な握りよりも浅めに握って指先で支えるようにすると高速チェンジアップを投げやすい.
- 標準的なチェンジアップの握りの場合, シュート回転しながら落ちることが多い. 純正な落下を望む場合には握りを以下に述べる「補正チェンジアップ」の握りを試してみるとよい. シュート回転を生み出している一因として親指と人差し指がほかの二本の指に比べて強いことが考えられる. 従って親指を使わずにチェンジアップを投げるとシュート回転の要素が減ると考えられる. しかし, 人差し指・中指・薬指の三本で球を持つことは困難である. そこで小指も使って四本の指でと手の甲で球を支えるように握ると安定感が得られる. この握りはリリースの感覚がつかみにくいが, それさえ克服できれば真下に落ちる緩いチェンジアップを投げることができるようになるだろう.
- チェンジアップは離すのが難しい変化球である. 一つ言える事は手を縮こめて投げると叩き付けやすくなるということである. それゆえチェンジアップを投げるときには腕が伸びていることを意識しながら投げる必要がある. 経験的には, 足を上げた後に腕を真後ろ下気味に一旦セットするような感覚を持つと成功しやすい. またリリース時には特殊な回転を与えたい場合を除いて, 手首は返さずにそのまま固定して球を滑らせるようにして外に押し出すとうまくいきやすい.
以下, コントロールを習得するために様々な方からいただいたありがたき教えを記す. コメント・アドバイスを下さった方々, 心から感謝しています.