平成二十六年度寮歌 姫月に重ねて 松元一平君 作歌 寺尾佳隆君 作曲 (1,2,3 繰り返しなし) 観月過ぎゆく晩秋の夜、 穹蒼の天空高く 舞ひたる月は今宵満つるかな。 その清輝に映えし姫が鏡水は、 鹿が純瞳に宿らむ。 月影は鹿を誘ひ 来たりしこの神無月に 何をば見せむ。 1. 時移ろひて 人世は変われども 今宵も満月は我らを照さむ 夜の邪帳をはらはむと 流歩む汝は楡に似たれど 風流を掴まむ芽に感ず 風習に付和せし 狗と成らざらめや さて映りこむ 我が鏡瞳に 風習だに愛づる その気概 2. 清澄みたる想ひ 知る由もなく 今宵の三日月は川面に映らむ かの日の月影とは違へども 人世に充つ解答を自ずと心得 此れは汝の求望にか 漲る想ひ などか劣らむ さて映りこむ 我が鏡瞳に 身を委ねばや その清流 3. 静と唸りし 雨澪したたれば 今宵も我は朧月を仰がむ 姫が麗姿を追憶ふべく 汝が想ひは涙と落流れ 透かし斜光にさらさるる 閉じなむ凌雲よ こひ願はくば さて映りこむ 我が鏡瞳に 嗚呼汲まれたし その厭心 悲しかりけむ晩秋の夜は 月影映えて人影も追ひ得じ