明治四十二年寮歌 希望の光 加藤茂雄君 作歌 金原善知君 作曲 (1,6 了あり) 1. 希望の光仰ぎつつ 思へば友と尋ね来し 山は紅朝日子の 燃ゆる姿に似たる哉 嘶く駒は秋に肥え 我等が門出栄ありき 2. ああ冬寒し北国の 大野の果を眺むれば 雪かあられか空たえて 限りは知らず暮るとも 我等が胸に黙想あり 星の光に啓示あり 3. 黙想を胸に結ぶ時 啓示を空に望む時 見よ下萠ゆる若草の 息吹さやかに風薫る 春は来れり春は来ぬ 物皆此処に力あり 4. 春の光の照る所 色を交へて咲く花に 蝶舞ひ鳥は囀りて 我等が血潮躍るなり 斯くて見渡す行手には 光蔽はん影もなし 5. 深く霞に鎖されて 都の様は知らねども 夕孤雁の声聞けば 人太平に眠るとや 吹雪に練りし双の腕 鳴るよ常盤の夢醒ませ 6. 四年の昔人々の 耘り建てし我が寮に 春立ち還る時よ今 希望の光新なり さらば起て友諸共に 我等起つべき時なれば