昭和二年寮歌 蒼空高く翔らむと 土井恒喜君 作歌 長谷川吉郎君 作曲 (1,2,3,4,5,6 了あり) 1. 蒼空高く翔らむと 暫しやすらふ楡の蔭 力は胸に溢れつつ 翼つくろふ思かな 2. 朝曠野の露を吸ひ 夕北斗の囁きに 驚き瞠る幼鵬の 清き眸君見ずや 3. うら若き日の悦びを はかなきものと誰かいふ 理想の潮湧き出づる 生命の海の高鳴るを 4. 若きに芽ぐむ数々の 深き苦悩は身にあれど 迪を恵ねて辿りゆく 遊子の真意君知るや 5. 茫々千里石狩の 野は澄みわたる銀の 雪さんらんと散るところ われらが魂の故郷かな 6. 若き勇者よオキクルミ 熊をはふりて饗宴せし 短檠すでに光消え 東の空はかぎろひぬ 7. 花咲き散りて五十年 寮庭の桂も年ふりぬ 先人の影とほけれど 遺訓や永久に薫るらん 8. 北溟城の生活に 桜と星の旗かざし 相寄りむすぶ三百の 志は高きわれらかな 9. こよひ手稲に日は落ちて 新月細くかがやけば 青き煙のそが中に ほがらかになる楡の鐘 10. ああ碧落に永劫の 北斗の光かげさえて 清き三年の思出の 銀觴の酒つきざらん