昭和九年寮歌 津軽の海 星勇君 作歌 白石祐義君 作曲 (1,4,7 了あり) 1. 津軽の海渦巻ける奥 オホツクの寒潮咆哮えて 雄健き名ぞ蝦夷が島根に 年古りし恵迪の寮 旅寝とな言ひし三年を 揺籃の高夢を追ふなり 2. 寂寥の歩行はこびて 茂みさぶる森に仰臥し 先人の詩になぞらへ 陳腐なる歌を恥ぢらふ ただ仰げ自然の姿 そは深き黙示をきざむ 3. 清明の水に浮べる 宵󠄁月の影はさやけし 酒觴をめぐらしかさね 羆熊の声聞くもすべなし たぎりゆく若き血潮に 限りなき感激をしたふ 4. 六十にも齢うつろひ 集ひたる寮友は兄弟 伝統の永遠の記念と 感激の寮史も成りぬ 情懐深く唯魂が 魂と結び輝く 5. 恵迪の館を訪ひし 竜田姫佐保神三たび 若人の生命捧げし 想ひ出の自由の宴遊 永劫に若き一日の 夢とせむ楡鐘の調べを 6. 黎明は曠野の際涯 雄叫びと共に来れり 満蒙の長夜の闇も 晴れんとす起てよ寮友 青春の象牙の塔を いざ出でむ時は到れり 7. 北溟の自治の牙城を 蒼穹高く巣立つ寮友 澆季の世救はんは汝れ 済世の烽火あぐべし 忘れ得ぬ恵迪の歌 高唱ひゆけ正義の大道を