昭和十一年寮歌 嗚呼茫々の 宍戸昌夫君 作歌 村岡五郎君 作曲 (1 繰り返しなし) 楡陵謳春賦 吾等が三年を契る絢爛の その饗宴はげに過ぎ易し。 然れども見ずや穹北に瞬く星斗 永久に曇りなく、雲とまがふ 万朶の桜花久遠に萎えざるを。 寮友よ徒らに明日の運命を 歎かんよりは楡林に篝火を焚きて、 去りては再び帰らざる 若き日の感激を謳歌はん。 1. 嗚呼茫々の大曠野 先人ここに芟りて 建てし自由と自治の城 その源は遠くして 濁世叱咜す六十年の 苔むす青史誇りなん 2. 老桜の蔭や北辰の下 少時旅寝の若き子が 自治燈かかげ聖鐘うちて 惰眠れる魂を覚醒すべく 降魔の剣かざすとき 狂へる颷も声ひそむ 3. さはれ今宵の我が寮 「人生意気」に集い来し 結びてとけぬ友垣が 光明と権威謳ふとき 星屑原始林に輝きて 流転の相を示すなり 4. ああ感激の美酒は 廻りて早きその三年 希望の光恵めては 楡林にかはす盃に 啓示の翳を泛べつつ 男の子の眸に涙あり